「あれ、無い…学校に置いて来ちゃったかな…」
「何を?」
「リップ…もう、携帯の次に大事な物なのにー…」
「そんなに?」
「うん、そんなに」
女の子は髪やら肌やら唇やら何かと気にする所が多くて忙しい生き物なのだ。
でも家に予備あるしまぁいっかーなんて言っていたら、零はとんでもない事を言い出した。
「あ、そうだ」
「?」
「これ、使いなよ」
「へ!?」
差し出されたのは、どこからどう見ても、リップ。
へぇ、零もリップ持ち歩いてるんだ、なんて感心していたのもつかの間。
え、使いなよってこれ零のだよね?て事はあれ、まさか間接キス!?むしろそれよりも生々しくない…!?
「や、大丈夫だよっ、ありがと!」
「良いから良いから」
「うっ…」
恐る恐る手に取ってキャップを外す。
少し使われた形跡のあるそれをいつものように使ってみる。
は、恥ずかしい…!
「どうしたの?顔真っ赤だけど」
「な、なんでもないよっ!ありがとう!」
「どういたしまして」
なんか零が物凄く笑顔なんだけど…もしかしたら確信犯なのかも知れない。
とりあえずこのドキドキをどう鎮めたら良いか誰か教えて下さい…。