「った……」
「どうした?」
「リップクリーム無くしちゃって…塗らないままでいたんですけど、やっぱり荒れちゃうんですよね」
この時期は至る所が乾燥して困る。
唇もその例外ではなく、リップが無ければひび割れてしまい血まで出て来る始末だ。
「あの、どこかコンビニとか寄って貰って大丈夫ですか?」
「それは構わねぇけど…」
「?」
けど、何ですか、と尋ねるよりも早く銀さんの顔が近付いて来て。
ぺろ。
「!!??なっ、なな、な…!」
「少し血が出てるな…これで少しはもつだろ」
「……っ、」
キス位ならもう慣れているが、まさか唇を舐められるとは。
嫌な血の味が一転、慣れ親しんだ苦くも愛しい味に変わり、もうコンビニに寄らなくても良いかな、なんて考えてしまう私だった。