「ただいま」
「おかえりー…ぶっ!!!」
いつもの様に代打ちの仕事(?)から帰ってきたアカギを見て私は盛大に飲んでいたお茶を噴き出した。
「名前…汚い」
「ごめん…ってか、何その格好!?」
「石川さんから借りた」
「はぁ…」
そう。何でもアカギが今回代打ちをした対戦相手はとても有名な企業の社長で(誰かは教えて貰えなかった)場所もそれはそれは薄暗くてタバコの煙にまみれたような雀荘などとは程遠い超高級ホテルだった為正装をしなければならず、そういった服を一着も持たないアカギに仕方なく石川さんが貸してくれたという訳だ。
ス ー ツ を 。
「たまにはこういうのも良いだろ」
「うん…凄く…似合ってます…」
とにかく似合う。悪魔的に似合う。
髪の色とスーツの黒が絶妙なコントラストになっていて、1つボタンを開けたワイシャツから見えそうで見えない鎖骨とか、ネクタイを緩める仕種とか、もう何もかも…
「…かっこいい…」
「全部声に出てるけど」
「はっ!?無意識の内に!?」
「…にしてもやっぱり堅苦しい格好はしっくりこないな。着替えて来「嫌ですやめて下さい今日はそのままでいて下さいお願いだから」
「(…名前はスーツフェチなんだな…)」
この日一日はご飯を食べている時はおろか寝る時もスーツ姿を強要されたアカギなのであった。
「名前…せめて布団の中くらいは」
「嫌だってば今日はこのまま抱き枕になっててよ」
「…………」
終われ。