ふと手元の時計を見れば、日付を跨いでから二時間ほど過ぎていた。
今日はまた沼に挑戦してきた人が居たから、無駄だなぁと思いつつ夕方から体調の優れない一条に変わって村上くんと私でその客を見ていたんだっけ。
勿論その客も、途中でパッキーカード(300万のやつだけど)を五枚も買い直したのに攻略出来なかった。もうちょっと変わった事を言えないものだろうか。
イカサマだとかのたうちながら去っていく客を見て、あの人後で何て言うかなとか二人で談笑するのも結構慣れた。
騙される方が悪い。これが私たちの信念である以上、それは致し方ない。
売上金の計算は村上くんの役目。それを任されたら一条曰く信頼が置けるようになった証らしいけど、未だにそれを私がやったことは無い。
一条と恋仲になって早一か月。
肋骨が半壊する勢いで抱きしめながら告白してきた一条は、それはもう非常に可愛いかったのだけれど、だからと言って何か態度が変わったかと思えばそうでもない。
寧ろ歯に絹着せない言動により磨きがかかってきた。
着用していたストッキングの薄さにまでケチを付けてきた時はこいつ遂にシャブったかとさえ思った。
しかし村上くん曰く、見た目に対してここまであれこれ言うのは私が初めてらしい。
女の子を作っては「まぁ見た目に難ありだがいい感じの数の子を持ってるから我慢する」等と言って、割とどうでもいいといった様子で流しているとか。
悪かったな私が数の子持ちじゃなくて。
もうちょっとくらい進展出来たらいいのに、と考えながらホールのモップ掛けを終えて店長室へ報告に行くと一条は苛立った様子で仮眠用のソファーに伏せながら雑誌を読んでいた。
体調が悪いせいか、それとも給料日前のせいで平均の売上が落ちたことに苛立っているのか。残念ながら私にその差は見分けられない。
思ったのは、緩めた襟元から覗く喉仏と長い睫毛が異常に艶やかに見えたことだけだ。
ほんと見た目「だけは」文句のつけようがないくらい美人だなぁと思いつつ、軽く声を掛けた。
「一条店長、ホールの掃除終わりまぶふぅっ」
「名前さ…お前ほんとアホだ馬鹿じゃねえの超いらつく。」
急に世界が反転したかと思えば、私はソファーに沈められていた。ついでにちょっとストッキングが破れた。40デニールのやつ。
そして視界に映るのは、やるせない表情をした一条。ドキドキしないと言えば嘘になる。
「…何て言うか…一先ず、どいて?」
「誰が退くかよ…ったくさ、お前自分の立場わかってるのか?お前自分がどう思われてるか知ってるのか?」
左手で肩をぐっと押されて、右手で膝上15cmぐらいの黒のタイトスカートの裾を撫でられた。表情とシチュエーションに相俟って、一瞬声を上げそうになったけど我慢。
体調不良の補正を抜いたとしても、何となく今日の一条は違っていた。
「少し前までは黒服だけだったからまだいいけどよ…金ヅルにまで言われてんだぞ。
あの女一度は食ってみたいよな、って。回してみたいよなって。あと黒スト越しの脚たまんねえよなって。
ほんっと、そいつら以上にお前がむかつく。俺がどんだけ名前に対して抑えてるか知らないのなアイツら」
途中から文章おかしくなってるよ一条、と突っ込みたかったけどやめておいた。
あと黒ストに関しては彼らのフェチであってあまり私と関係は無い気がする。でもそんな支離滅裂な一条の言葉でも一つだけわかったことがあった。
その事実に気付いた途端、妙に一条が可愛いく見えて。たまらず一条の左頬に手をぺちっと当てると、瞳を閉じて一条はそれに顔をこすらせた。
やばい、何て言うか、シャム猫みたいで、超可愛い。俺の一条がこんなに可愛いわけがない。
「あのさ一条…もしかして…嫉妬、してくれてる?」
「んな訳ねえだろ…ただむかつくだけだよ。あいつらとか、名前とかに。」
「うん。ごめんね一条、それ嫉妬って言うんだよ。」
多分、照れ隠しなのだろう。一条が何か呟きながら私の首元に顔をうずめた。
体勢を崩したせいで、一条が私の脚の間に入りこんでくる形になる。
私だって子供じゃないから、そういう気分になってしまう訳で。正直やめて欲しい。困るから。
熱のせいか妙に熱い呼吸を首筋にかけながら、一条が苦々しく呟いた。
「名前に惚れちまった俺が一番、むかつく」
「…そのまま惚れ続けてればいいんじゃない、かな?…私はそれでいいよ」何だか私まで調子が狂ってきた気がする。
私はこの先どうしてやればいいのかわからなかったから、とりあえずしたいようにさせてみる事にした。
「この先どうしたいの?」「…いいから黙ってろ」



















はいっ、無香料の墨様より相互記念として店長いただきましたー!圧倒的感謝…!
もう、スカート撫でる所とか首元に顔を埋める所とかもう、もうっ…なんやねん…!(何が)
もう本当にご馳走ですハァハァ
…なんかもっと語り散らしたかったのに頭がオーバーヒートしてしまい真っ白になってしまったので強制終了(笑)
とにかく、墨様ありがとうございました!これからもよろしくお願いします(^^)
尚、素敵店長が拝める墨様のサイトへはリンクからどうぞ!店長の他にもひろや神域等もいて色々ウヘヘ(^q^)









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