きらきらしている。絶えず聞こえるさざなみの音。遠く水平線の向こうで夕日が燃えている。オレンジ色にきらめく波が揺れる。よせてはかえす。太陽は燃え、沈み、母なる海に溶ける。深海の底へ回帰していく。
隣でひざを抱える男はそれをじっと見つめている。彼の白い素足は砂に浅く沈んでいる。


「桂さん桂さん」

「なんだ」

「好き」

「あぁ」

「好きよ、好き、大好き」

「あぁ」


きらきらしている。海も砂も波も、風も。隣で太陽が溶けていくのを眺めている男も。横顔の輪郭は夕日色に縁取られていてきれい。潮風が彼の黒髪を踊らせ、強い橙色の光をはげしく撒き散らす。光のはじける音が聞こえそうだ。まぶしくて目を細める。波は依然としてよせてはかえし、静かに、夜が来る。



甘さの似合わない横顔

(夏よ終わらないで)

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