近所に住む小2の女の子が「あたしおっぱいが小さい」と泣き嘆いていたので、内心なんなんだこの子と思いつつ「大丈夫、お姉ちゃんなんか高校生なのに平面だよ。気にしなくていいよ」って言ったら泣き止んだ。納得したようだ。

という話を猿飛さんにしたら、「だいぶ説得力があるわね、すごいじゃない」と褒めてくれました、このクソアマ。





天気快晴、昼休みの屋上にて。

「で、桂くんはやっぱ胸が大きいほうがいい?」

柵に手をおいて空を眺めながら、隣に立つ男に疑問をぶつけてみる。
すると、我が3zの学級委員長・桂くんは、ペットボトルのお茶を吹き出した。うん、ベタな反応ありがとう。
それから慌てて周囲を見回し、誰もいないのを確認して、桂くんは口を開いた。


「俺はべつに……。あ、でも」
「でも?」
「人妻には巨乳が多いな」


そうですか。こーんな真面目そうな顔して人妻好きとか、やっぱり3zだな、桂くんも。


「だがな」
「うん」
「…俺の好きな人は、胸が小さい」
「え、好きな人いたんだ。もしかして3z?」
「あぁ」
「ふーん意外」
「……。それだけ?」


それだけって、なにが。
首をかしげて桂くんをみると、彼は思案顔をしている。


「うむ、おなごというものは手強いな」
「はあ」
「普通、『あ、わかった〜!××ちゃんでしょ!』とか言うものじゃないのか?」
「桂くん裏声うまいね。…だってさ、3zに胸小さい子何人いると思ってんの」


あたしと、神楽ちゃんと、(あとこれは怒られそうだが)妙ちゃんと……。他にもいっぱいいる。


「そうか。それじゃあ、言い方を変えよう。……俺の好きな、隣の席の子は、胸が小さいです」
「作文?」


その瞬間、チャイムが鳴った。
足元のお弁当箱を手にとり、ドアに向かって歩き出す。桂くんも少し遅れて、あたしのあとをついてきた。


「そだ、次の授業なんだったっけ?」
「次は数学だな」
「げー!教科書忘れたっ」
「今月何回めだ……」
「うー…。ごめんなさい、お願いだから見せてー」
「しようがないな。俺、机くっつけるの嫌いなんだぞ、本当は」
「あ、それわかるー。顔近くて落ち着かないよね」
「誰のせいだと思ってるんだ!こっちは授業中ドキドキしっぱなしなんだぞ!」


それはあたしもおんなじ。

って言ってやったら、桂くんはポカンとして、のち笑った。







「席替えいつだっけ。もうすぐじゃなかった?」
「うむ、あさってだな」
「マジ」
「だが心配無用だ。なぜなら『俺の好きな、元・隣の席の彼女は、胸が小さい』からな!席が離れても問題ない」
「別に彼女になるとは言ってないし胸が小さいって何回言うつもりだ。こんな口説かれ方初めてされたよ」
「ふふん」
「褒めてねーよ」


(それでもやっぱり、あなたの隣がいい)
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