かわいすぎるという罪



俺のかわいい恋人が「おうちデートしよ」って誘ってきた。
こんなかわいい恋人がかわいい顔してかわいいお誘いしてくるのに断らない男がいようか、いやいない。俺はニッコリ笑って是非俺の家に来てください、と言った。かわいい俺の世界一美しい恋人がにこ、とそれはもうかわいい顔で頷いたので、その日一日死ぬほどハッピーだったし一日と言わず三日間くらいはハイテンションを保っていた。
ここまでかわいいって何回言ったと思う?語彙力が死滅するレベルでかわいい俺の恋人がいけないね、あ〜かわいいな。今使ってるスマホでもキムテヒョンフォルダが3万枚を越した。こないだ俺の写真フォルダふざけていじったジニヒョンが絶句してた。仕方ないじゃないか、俺にとってはいつでも最高にかわいい恋人を写真の中におさめたいと思うのは空気を吸うのと同じくらいに当たり前で、でも自分の記憶の中で独り占めしたいと思う葛藤もあり、結局スマホを構えずにはいられないキムテヒョンの罪深さ。あ〜まじかわいいな。顔もかわいいんだけど俺の恋人はね、なんと身体の隅々まで美しくてかわいいんだよ。あ、それは一生理解しなくていい。いやらしい目で俺のテヒョンイヒョン見たら死ぬより恐ろしい目に遭わせてやる………なんてね。

何の話してたんだっけ。ああ別に俺のテヒョンイヒョンがかわいいのはいつものことなのでまあ、あれだよね。地球は青いのと同じくらい当たり前なわけで、でも夜空の美しさについて語らずにはいられないくらい綺麗でかわいくて尊いから一通り語っちゃったよね。聞いてくれてありがとう。は〜早く会いたいな。会いたすぎてバイブ並に震えてる今。ていうかお家デートに誘ってくるってことはつまりそういうことだよね。かわいい上にいやらしいえろいキムテヒョンも見れてしまう。キュートなのセクシーなの、どっちが好きなの〜ってやつ、あれをテヒョンイヒョンは見事に両立させてるからすごい。存在が尊い。


そうこうしているうちにスマホにメッセージが来ていて、「もうすぐ着くよ」とあった。そわそわしながらも余裕の表情を見せたくてソファにどかりと座ってみる。「あ、来たの」ってちょっと素っ気なく迎えて、そしたらテヒョンイヒョンが「ジョングガ〜」って俺のこと呼びながら抱きついてくる、ウワッ妄想なのにかわいい…意味がわからない……。

それから少ししてテヒョンイヒョンが勝手知ったる俺の家へ「ジョングガ!」と嬉しそうな顔をして入ってきたものだから、びょんとソファから飛び上がって「テヒョンイヒョン!!!!!」と叫んでしまった。待ってた、かわいい俺の恋人キムテヒョン、余裕もクソもない。そんなことより俺の腕の中に収まる絶妙なサイズ感、清潔な石鹸みたいなそれでいて上品でどこかセクシーないい匂い、男なのにどことなく柔らかい身体。天才すぎる何もかもが無理勃っ

「ジョングガ〜お風呂入っていー?」
「俺と一緒に入りましょう」
「やだぁ。だめ」
「な!!!なんで!!!!!!」

知らず知らずのうちに嗚咽が漏れていた。テヒョンイヒョンのためにいい匂いの入浴剤用意して待ってたのに一緒に入れないとか無理病むなんで。

「……おれにも準備があるの」

アーッ秒で許した元気出たかわいいめっちゃかわいいそうだよね俺のために俺とするえっちのために準備あるもんねできるなら俺が一から全部してあげたいけど恥ずかしそうに俺のこと考えながら一人でえっちの準備するテヒョンイヒョン可愛すぎるからそれもアリ、アリでしかない。仕方ないなあ待ってるよ、となんとか返事をしたけど正直顔面が事故を起こしているに違いない。時たまカメラの前でもやってしまう、テヒョンイヒョンが好きすぎてたまらない、って顔。結構だらしない顔だからやめたいけど無理だよね、恋人がかわいすぎるんだから。
そんなわけでテヒョンイヒョンがお風呂から上がってくるのを待ちつつ家事を済ませることにした。お風呂からテヒョンイヒョンの楽しそうな鼻歌が聴こえてくるだけでムラムラして正直家事どころではなかったけどね。皿五枚くらい粉砕した。

「じょんぐぎぃおまたせ〜、んぬぁ!」
「髪、タオルドライしてあげます」
「んぶ!もっと丁寧にしてよ」
「ちょっと感情が荒ぶってて力加減が…」
「な、なんで?めちゃくちゃにやにやしてるのに?」
「テヒョンイヒョンがかわいすぎて」
「またそれ?意味わかんないんだけど」
「テヒョンイヒョンはハチャメチャにかわいいって自覚持ってくださいよ死人が出ますよ」
「ジョングギが何言ってんのかほんとわかんない〜、眼科行ってこい」

俺の目が異常だとでもいうのかこのヒョンは…。自分の美しさを知らない尊き存在なので仕方ない。一通り水分をとって綺麗で細い髪が傷まないようにそっと丁寧にタオルドライをし、冷風でさっと乾かしてから「俺もシャワー浴びてくるから待ってて」と言うと、うん、とテヒョンイヒョンはころりと寝そべりながら頷いた。いちいちかわいいなオイ。なんか涙でそう。かわいすぎてこわい。

俺はそれからひたすら無心でシャワーを浴びた。なんなら悟りの境地へ逝きかけた。どうしてキムテヒョンはあんなにも愛らしいのか?それはキムテヒョンだから。以上、終了。

テヒョンイヒョンみたいに俺には特別な準備はないけど、しっかりテヒョンイヒョンに快感を提供すべく最高の肌触りを意識しながら身体を磨き上げた。しつこすぎない爽やかな香りのボディミストを振りかけ、見事に割れた腹筋のセクシーさと爽やかさをいい具合に演出する。最高にかわいい恋人の前ではかっこよくいないとね。いつもだらしないでれでれした顔ばかり見せている気がするので今日くらいは頑張りたい。
意気揚々とシャワールームから出ると、テヒョンイヒョンが俺の畳んだ洗濯物を乱し、その上にころころと寝そべっていた。俺のお気に入りの黒いシャツやズボンや下着まで腕に抱き締めて顔を寄せている。

「あーっあなた何やってるんですか、せっかく畳んだのに」
「だってえ…これ、おまえの匂い、いっぱいするから」
「…………」

何だこの天使?余裕で許した。無理すぎかわいすぎだめでしょそんなん。今すぐ食べてくださいってか?オーケイ言われなくてもそうするよ!!

「テヒョンイヒョンッッッ!!!!!」
「な〜にジョングガ〜」

おまえ、身体はおっきくてあつくてえっちなのに、いつまで経ってもかわいい顔だよね。大好き。

全力で抱き着いたらかわいい天使に頬をあたたかい手で包まれた。そんな優しい顔で殺し文句を囁かれながら微笑まれたら、俺もう、どうしていいのかわからない。

「ぱへ」
「ん?え?なに今の声、どしたの?ねえジョングガ?あ、煙出てる…!」

ぱしぱし、控えめに叩かれてもフリーズした俺は10分くらいそのまま硬直していたのであった。
かわいいって、こわい。







×