※もしも比嘉長編の夢主と平古場が付き合っていたら
「あぁー……さっっっ……ぶー…!!」 「やーも大概寒がりやし」
布団にくるまって呻いていると、正面に座っていた平古場くんが呆れたように言ってきた。
「確かにちゅー(今日)は珍しくひーさん(寒い)やしが、そんな震えるほどでもねーだろ」
そう、普段の沖縄は真冬でも信じられないくらい気温が高い。 本土とは比べらんないくらい。 本土の気温がヒトケタな時でさえ、沖縄は安定して20℃をキープするくらいだ。 なのに、なのに今日と言ったら「なんの天変地異?」と聞きたくなるくらい寒い。 気温は計ってないけど、本土に居た時と変わらない位寒い、気がする。
「寒いものは寒いんだよもー!寒がりなめんなっ!うううー…滅びる…」 「やーがこんな下らないことで滅びるわけねーらん」 「ばかものっ!!うちにとっては死活問題なんだよっ!生きるか死ぬかの問題なの!」 「へいへい」
軽く笑って言う平古場くん。 誠意ってもんが一切伝わってこない。
「つーかそんなにひーさんっつーなら、なんか温かいモンでもいれて飲めばいいさぁ」 「ここ平古場くん家だよね?うちが勝手に煎れていいもんじゃなくない?」 「別にそんなん気にしねーっての」 「うちはするっての!!」
力むと、平古場くんは頭を掻いて立ち上がった。
「ったく、変なとこだけ律儀なヤツさー。…ぬー(何)飲みたいんばぁ?」 「え?…え?あ、や、そんな別にいいよ悪いよ」 「ふらー。こういう時素直に礼あびるのが良いいなぐ(女)やっさー」 「う……うん、ありがとう…なんでも良いから…なんか温かいのお願いします…」 「良し」
何が良いのかよく分かんないけど、満足そうに頷いてくれたから良い…んだよね。 てか、結局何が良いか聞かないまま行っちゃったし。 相変わらず自由奔放だな…。 出来ればあったかいココアとかが良いんだけどなぁ。
「よ、っと」
2つのカップを持ったまま、平古場くんは器用にドアを開けて戻って来た。
「あ、ありがとう」 「おー」
こん、と目の前にカップを置かれた。 それに注がれてる飲み物を見て驚く。
「…あれ、これ…ココア?」 「おー」 「……すごい偶然の一致だね、うちココア飲みたかったんだよね」 「偶然じゃねーらん。やー、ココア好きってあびてただろ」 「おぉ………覚えてたんだね」 「当然さー」
びっくりして平古場くんを見ると、当たり前のように鼻で笑った。 …いつ何時でも偉そうな話し方をするけど、もう慣れちゃった自分が悲しいような。
「……じゃあ、いただきま………あっづぁ!!」
カップに口をつけた瞬間、ふざけんなってくらい熱かった。 ひいい、舌!じんじんする!
「ははっ、相変わらず猫舌だよなぁ」
うちが呻いているのにも関わらず平古場くんは呑気に笑ってる。
「ちょ、あんた!!猫舌も知ってんならなんでこんなあっついの持ってくるのさ!!」 「そりゃ、驚くやーのちら(顔)見たかっただけやっさー」 「ちょ、性格悪いな!!」
うちの言葉にも平古場くんは軽く笑う。 このやろう。
「あー…くそー…。全然飲めない……」
必死に冷まそうとフーフーする。 くそ、最初に飲もうとした時に舌火傷してしまったじゃないか。 痛い。
「……ぷっ」 「はっ!?ちょ、なんで笑った!?」
こっちが必死になってくるのを見てた平古場くんが急に吹き出した。 なんなのコイツは!
「いや、見ててうむさん(面白い)なって」 「おもっ……ひどっ!!うち何も面白い事してないけど!?」 「やーは言動が一々笑えるんどー。ま、取り敢えず誉めてんだから良いだろー」 「良くないわ!」
ツッコミの勢いで言い返すと、平古場くんは楽しそうに笑った。 くそ、こっちは真剣なのに!!
「……平古場くんのアホ」 「やーには敵わねーけどな」
とか言って、また笑われる。
…毎回毎回イラつくけど、嫌じゃない。
こんな大したこと無い日が楽しいと思っちゃう自分、だいぶ毒されてるみたいだ。
おわり
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