×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


※もしも比嘉長編の夢主と甲斐が付き合っていたら



「もー甲斐くんそろそろ起きなよ」
「んー…」
「いや「んー」じゃないって。そろそろ11時ですけどー」
「あー……」

ベッドで寝てる甲斐くんを揺さぶるものの一向に起きない。

「ねー、昨日一緒に買い物行くって言いましたよね?荷物持ってくれるって言いましたよね?なら起きてくれませんかねぇ?」
「…あと2時間……」
なっげ!なに2時間て!あと5分〜の感覚で2時間!?ふざけ倒せ!」
「…別にいいだろー、昼過ぎても」
「良かないよ!先に行って午後ゆっくりしたいんだから!って、これも昨日言ったよね!?」
「わんはなま(今)ゆっくりしたい……」
「バカ野郎だな!」

べし!と頭をはたいても微動だにしない。
ジャーマンスープレックスでもしてやろうか。
まあそんな技術ないですけどねっ!

「ほーら!もう!甲斐くんの買い物にも付き合ってあげるから!」
「ん〜…?」
「うちの買い物終わったら好きなとこ行っていいから!」
「うーん……」

おっ、反応アリ!
甲斐くんの買い物という名の寄り道に付き合うのは終わりが見えなくてヒジョーに面倒なんだけど、いざとなったら逃げるしね!
ここはあと一押し!

「ほらほら!今日行く店の近くに甲斐くんが行きたがってたモールあるしさ!ね!」
「あー……」

よし!いいぞ自分!
ようやく甲斐くんが眠りの縁から帰って来かけている!
子供みたいに目をごしごししている所が可愛い。
…とか思ってないからな!
というか、改めて思えばなんでうちがこんな必死に頼まなきゃなんないんだ?
元はと言えば、約束したのに起きないこのわさわさ頭が悪いってのに!
理っ不尽!!

「…じゃ、そろそろ起きるかぁ」
「おっ!ようやくか!」

時間かかったなぁまったく!
予定より2時間程オーバーしてますよね!
でも目をつぶってやろう。
うちは心がカスピ海の如く広いんだからな!
カスピ海がどこかは分からんけど。

「じゃあほら、早く着替えて…」
「名無しがちゅーしてくれたらなー?」
「は?」

甲斐くんがこれはまたナマイキな顔してうちを見上げてきた。
ちゅー?…CHU?
チュー、とは?

「……はあっ!?い、いやいやいやっ、いきなり何言ってんの!?」
「いっつもわんからだろ?名無し、恥ずかしがって逃げてばっかやし」
「いやいや、だからって起きるとそれとはカンケーなくない!?」
「出来ないってんならまだ起きなくてもいいよなー」
「いや良くないわ!どっから来るのその考え…っておーい!?」

おやすみーとかほざいてまた目ぇ閉じて寝る体勢に入りやがったぞこのボンバーヘア!
くっそ、うちが恥ずかしいから出来ないのを見越してやがったな…!

「くそー…!」

た、確かにちゅーとか恥ずかしいけど…!
いつまでも甲斐くんに振り回されてたまるかってんだ!
…うちだってやる時はやれるんだからな!
見とけ!!

「……っ!」

呑気に寝ようとしてる甲斐くんに、勢い任せで唇をぶつけてやる。
う、うわ、恥ずい。やっぱこれ恥ずい!
逃げるように離れたら、甲斐くんが目を見開いていた。

「…………え」

相当驚いてるようだ。
ふんっ!出来ないと侮るからだね!

「…はっは!残念だったねー甲斐くん!出来ないとか勝手に決めつけたのが敗因だね!」

恥ずかしいのを隠すため、偉そうに言ってやる。
と、とにかくこれで起きるだろう!
起きなかったら承知しないぞ!

ガバッ

「おぅう」

いきなり甲斐くんが飛び起きるもんだから変な声が出た。
そ、そんな勢いよく起きろとは言ってないけど、起きたんならまあそれでいい。

「よ、よーし、じゃあ今度こそ着替」
「名無し!もう1回!!」
「……はい?」

な、何を言ってるんだこいつは。

「い、いや、なんで」
「まさか名無しが出来るとは思ってなかったから気ぃ抜いてたんばぁよ!」
「そ、そりゃあ気を抜く甲斐くんが悪い」
「そうかも知れねーけど!あれで終わりは嫌やし!」
「いや、嫌と言われましても。…って、腕離してくれませんかね!?」
「もう1回してくれるまで離さないんどー!」
何故!?っていだだだだっ!」

甲斐くんの、うちの腕を掴む力が強いのなんの!
くっそう!こうなるんなら初めっからチューなんてしなきゃ良かったよ!!

「ねえほんと離そう!?もげるよ!腕もげますけど!?」
「もう1回キスしてくれたら離してやるさぁ!」
「しつけぇなあ!」

なんなのコイツ全然譲らない!

「そんな事より買い物だから!ほら、立ちなさい!」

掴まれた腕を有効活用して甲斐くんを引っ張る。
が、ビクともしない!
も、もー!ちゃらんぽらんでもしっかり力はあるんだから!

ぐいっ!

「おぅわっ!?」

甲斐くんの手に奮闘してたら逆に引っ張られた!
ぐるんと視界が回って甲斐くんが今まで寝てたベッドに沈む。

「び、びびった……な、なに急に、」
「わんにとっては「そんな事」じゃねーらん」
「え…」

な、なにかよく分からないことを言って、甲斐くんがうちに跨ってくる。
えっ、ちょっと待って何この状態?
嫌な予感しかしない。

「キスしてくれるまでベッドから下ろさねーからな」
「は……?」

何ふざけたことを!…とか言いたいけど甲斐くんの目を見たらそうでもなさそうだ。
だめだこれ、こうなったら甲斐くんの気が済むまでマジでベッドから下ろしてもらえないフラグですね!

「…買い物行ったらしてあげるけど?」

そう言ったら甲斐くんはぴたっと動きを止めた。
お、少し揺らいでるな。

「……やーのくとぅやし。どーせ後々難癖つけてしないつもりだろ?」
「あれまバレた」

してあげる(予定)だったから!予定は未定ですし?
とか言って逃げるつもりがサラッとバレた。残念。

「名無し〜…!」
「あっ、すっ、すいません冗談です!うわあジョーダンです!」
「そう聞いてハイそーですかとかあびるかよ!」
「いやマジ調子乗りました!いや、待っ、脱がすの止めて!?」
「名無しからキス欲しがるくらいにしてやるさぁ」
「目的変わってるね!?というか顔怖っ!か、甲斐くん、ちょ…っ!う、わっ」




……それからやることを一通り済ませた後気付いたら、窓の外は夕焼けを通り越して暗くなっていた。

「うーわー、日が暮れてる…」
「……」
「ほんと、誰かのせいで予定丸潰れだよ…」
「……」
「……聞いてます?甲斐くん。アナタのことですけど」
「……」
「おーい」

だめだこりゃ。呼び掛けても無視を決め込まれる。
甲斐くんときたら拗ねたようにそっぽを向いていた。

「返事くらいしてくださいよー。……寂しいんですけど?」

そう言ってほっぺたをつつけば、拗ねた顔のままだけどこっちを向いてくれる。
単純だ。

「なに怒ってんのさ」
「……結局、名無しからして貰えなかったんどー…」
「ああそれ。ははっ、残念でしたね!」
「……ぬーよ…欲しがってたのも最後までわんだけやし………名無し、わんぬくとぅ嫌いなんばぁ…?」
「えぇ?いやー、嫌いだったら一緒に居ないよ」
「…だったら……」
「それとこれとは別ですし!」

ああ、甲斐くんが目に見えて落ち込んでる。
そんなに落ち込むことなのか。
……仕方ないな!

「甲斐くん」
「…何よ、!」

甲斐くんが顔を上げるより先にその頬にキスをしてみる。
口にじゃないよ?恥ずかしいからね!

「……名無し…」
「…えー、と。また不意打ちってやつ?…かな?」
「……そこはフツー口にするだろー…」
「いや、まあ、それは申し訳ない」

そう言ったら、ようやく甲斐くんが弱くだけど笑ってくれた。

「……次は絶対名無しからだからな」
「えー、それはほら。甲斐くんの頑張り次第ですかね?」

茶化して言ってみる。

「…努力するさぁ」

甲斐くんはそのままうちの肩口に頭を預けてきた。
うぉう、相変わらず髪のボリュームがえぐい。
その頭をポンポンしてみると甲斐くんはしがみついてくる。というか、抱きついてくる。
うちも答えるように甲斐くんの背中に腕を回せば、甲斐くんの腕がより一層強くなった。 気がした。







「というか、甲斐くん。買い物どーする気なの」
「あー、明日なら行けるんどー。荷物持ちでも何でもするさー」
「……なんか、延々ループに入りそうで怖いんだけど…」


おわり