お昼を知らせる放送がフロアに響けば、自然と出てしまう溜め息。
ああ、来る。きっと来る
「今日は、みょうじさん。お昼のご予定は?」
いきなり目の前に現れた見目麗しい金髪の男に毎度の事ながらビクリと肩が跳ねてしまった。足音もなく現れるな!
翡翠色の瞳を真っ直ぐ私に向けて立ち姿さえ嫌味な程さまになる赤を基調とした服装のこのハンサム、元KOHバーナビー・ブルックスJr.。ヒーローに復帰して間もないながらも既にランキングは上位、昔からの人気もあり顔出しのこのヒーローを知らないシュテルンビルト市民は先ずいないだろう。
それなのに、このヘリペリデスファイナンス…いや、この狭い受付所ですら騒ぎにならないのは何故か。
皆このハンサムの中身がハンサムではない事を知っているから。ちょっと、目反らしてないで誰か助けてよ!
「みょうじさん?」
『今日は先約がございます』
「嗚呼、僕との約束ですよね。では行きましょうか」
『聞いた意味ないでしょうソレ!友達と約束してるんです』
「構いませんよ、お友達もご一緒に同席していただいて」
『上からバーナビー!というか図々しい』
「センターポジションは僕です」
もう本当に、どうにかしてくれこの残念ハンサム!