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「なまえ、なまえ」

肩を揺すられ、名前を呼ばれる。
さっき寝たばかりだから意識を浮上させるのが難しい。なんとかくっつこうとする瞼を押し開いて、月明かりを背にした愛しい彼の姿を瞳に映した瞬間、眠気を抑え込んで迄起きてあげた事を激しく後悔する。

『…は?』
「なまえ、会いたかった…」
切ない声を出しながら私を抱き締め、ここ一週間程互いに忙しく会えていなかった時間を埋める様に強く力を込めるてくるイワン。
しかしながら、その姿は例によって例の如く部分擬態された犬耳と尻尾がついた姿で

今回は全裸ときてやがる!!

『ちょっと!あんたバカ!?何全裸で人の家あがりこんでるのよ!』
「わ、オタク界では有名なツンデレ台詞だね。それと全裸じゃないよ、パンツはいてるし」
『はい、オタク云々はスルー。それより、パンツ一枚じゃ全裸と一緒よ!黒のピッチリボクサーパンツなんてもん見せつけられてどうしろっていうの!』
「笑えばいいと『スルーって言ったでしょうが、ぶり返すな!』

ああ頭が痛い!気持ちよく寝てた筈なのに、夜中に怒鳴り声なんてあげたくないのに!
思い切り盛大に溜め息を吐き出すと私を抱き締めていた腕から少し力が抜け、距離を取り頬を鼻先辺りに擦り寄せてきた。…ちょっと反省したのかしら

「…ごめん…」
『っ…い、いいよ…もう、いつもの事だし…』
必然耳元に寄せられたイワンの唇から、情事の時に似た低く色っぽい声でそう告げられたら…許すしかないじゃない。

結局イワンに心底惚れてるんだわ。
耳からじわりと侵食してくる彼に、姿なんてどうでもいいから身を任せてしまおうかと思ってしまう程に。

「ごめん、さっきの嘘。僕の黒いピッチリボクサーパンツを見て興奮すればいいと思うよ、皮を脱いでも野獣なのねって興奮したなまえもきっと可愛いんだろうなあ…あ、皮って二つの意味でパンツとちん『お願い黙ってて』

身を任せるのは睡魔だけにしようと心に決めて、キャンキャンうるさい犬畜生をどうやって放り出そうか思案する。

お願いもう寝かせてよ!

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