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今日も彼女は笑ってる。楽しそうに、嬉しそうに。

スカイハイさんの隣で。

彼女、みょうじなまえさんはトレーニングルームを管理する事務員の一人で数少ない僕等ヒーローの正体を知る人物だ。
よく使用するトレーニングルームだとしても一介の事務員が普通は知れない事実を、彼女が知っているのには理由がある。

彼、スカイハイことキース・グッドマンさんの恋人だからだ。

出会いはここ、二人の関係が始まったのもここ。
なんの変てつもない。街にありふれている恋人同士と同じように、お互いに惹かれ合ってお互いに愛を伝えた。ただ、それだけ。

それだけの事で、僕が彼女を手に入れる正規ルートは途絶えた。

スカイハイさんよりも早く、スカイハイさんよりも強く、彼女を欲していたのに。

それなのに、それだから

僕は卑怯なルートを辿らざるおえなかった。

僕より小さく華奢な白い身体に似合う長い黒髪、少しウェーブがかかっているのは天然らしく少し手をやいているみたいで恥ずかしそうに笑う顔から見せる白い歯、浮かぶピンク色の柔らかそうな唇に噛みつきたい。

どうしても

君が―……

「なまえ、今夜は空いているかい?ディナーに行こう、そして行こう!」
『ふふ、いいよ。今日はイタリアンが食べたいな』
「私もそう思っていた!では決まりだね!」

青く、僕の身体が光る。

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