小説の中にはよく主人公というものがいるのだけれど、私が今いる世界にもやっぱり主人公っていう役職はあると思う。

流石にこの世界で1人という訳では無いけれど、それでもやっぱり何人かは主人公というものに値するものはいると思う。

例えばほら、瀬戸君とか。
いつも人の輪の中心にいるし、何かキラキラしてるし。
それに凄く優しい。
こんな私に、笑顔で話しかけてくれる唯一の人。

まぁ、でも殆どの人物が脇役と言うやつに該当するのだが。
私だってそう、モブの中の特に目立たない人物。
クラスメイト1なんかじゃ、足りない。
クラスメイト28ぐらいの感覚。

根暗で、地味で、友達なんて1人もいない私には地味な配役がお似合い。
それに関しては納得してるし、自分でもそう思う。
でも、それでも。
瀬戸君が少しだけ、羨ましかったりする。

人の笑顔を何であんなに引き出せるのだろうか、なんで周りの人をあんなに幸せに出来るのだろうか。
私には到底理解できない。

だから、瀬戸君の事は正直嫌いだった。
羨ましくて、妬ましくて。
私だって、私だって、って思った。
話しかけてくれる度に、良くない態度も取った。

それでも、笑いながら優しく私に話しかけてくれる瀬戸君に、惹かれていったのも事実。
毎朝私の所まできて、おはようなんて言ってくれる瀬戸君。
挨拶なんて近所のお年寄りとか、校門の前に眠そうに立っている主事さんぐらいにしか無かったのに。

空気と化していた私の存在が、瀬戸君のお陰で私という存在に作り替えてくれた。
それが何よりも嬉しかった。

だけど、それと同時に私がこの世界の主人公なんかじゃなく脇役なんだと痛感した。
やっぱり、私には彼が眩しすぎるよ。
恋だなんて厚かましい程に、私には瀬戸君が遠い。

ねぇ、君のヒロインはきっと私なんかよりも優しくて、君と同じくらいキラキラしているんだろうね。

私には、君を見つめているだけで精一杯だよ。
主人公とクラスメイト28の差はあまりにも大きい。
この世界を恨む程に、ね。


クラスメイト28の恋


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