シリーズ | ナノ


クチビル



静かな部屋にリップ音と水音だけが響く


明日は仕事がお互いに休みだがらと久しぶりにたくさん飲んだ。


えっと…確か今俺にキスしてるのは…可愛い後輩の愛実であって



俺たちは特に特別な関係ではなくて




だんだんと酔いが覚めてきた俺はハッっとする





「ちょっ!まて愛実!!」






「んっ…どうしたんですか?ラッセ先輩」







「いや、わりぃ悪酔いしちまって…。とりあえず落ち着こうか」







そういって向かい合ったが、愛実の瞳は虚ろで…俺を映してはいない







「なぁ。お前、好きなやつとかいないのか?行きずりで俺とこんなこと」







そこまで言うと愛実の唇がそっと俺の唇に触れた。



さっきまで酔っていて意識しなかったが、ふっくらとしたやわらかい唇で、しかも形も色もきれいだ




「っ…なに…してっ…んっ」




言い終わらないうちにまた愛実の唇が降ってきて今度は激しくキスをする。



「私…酔ってません。先輩が好きだからこうしてるんです…」




「愛実……」




「先輩は私の事好きっ…?」




虚ろながらも艶のある瞳に見つめられ

俺好みの唇で囁かれたら


もう止められなくて






「どうなってもしらねぇぞ…っ」






そう言って噛みつくようにキスをした。













キミのフェチは『クチビル』









おまけ



朝起きてふと隣を見ると


昨日と同じ可愛い唇がわなわなと震えていて


愛実は俺と目が合うと恐る恐る訪ねてきた



愛実「ラッセ先輩…私…昨日の事…覚えてなくて…その…えっと…」



すがるような目で見る愛実に


何もなかったと言うつもりが


この可愛い後輩を離したくなくて


ラッセ「覚えてないなら…もう一度するか?」


そう言って悪戯に笑ってしまった。


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