机の上にギリギリのる程の大きな紙にでかでかと"俺が男嫌い治してやるよ"とマジックペンで書かれている。お隣さんはマジックペンを軽く握ったまま爆睡中。犯人はコイツしかいない。お昼を大好きなまゆちゃん(決してレズではない)と食べている間に好き勝手やられた…そもそも治してやるよとかいいよ、ほっていてくれれば十分だから。経験上1度もやって良かったという経験がない。
「ふあ〜」
でかい欠伸をしながら体を起こしてこちらを見るお隣さん。なんと満足そうな笑顔を見せるのでしょう。全然かっこよくないから。というよりわたしにとっては顔を引きつらせる以外の何ものでもないからね。
「丁重にお断りします」
「拒否権ねぇよ」
「は?」
なんて横暴な野郎なんだろうか。拒否権がない?お前何様のつもりなんだ。アーン?やべっついどっかの某学園のテニス上手な俺様ヤローの口癖が…あ、どうでもいいってか。
「君、拒否権は誰にでもあるものだよ」
「名前呼べよ」
「ふざけんな」
「名前呼ばなかったらボディタッチ(俺がお前に)ありだからな」
ちょまて。ボディタッチだあ?男嫌いを治すのに序盤からボディタッチとかふざけてんのか。やる気があるならせめてもう少しましなのを考えろってちげえええ!頼んでないお願いしてない。コイツのペースに惑わされるな。
「そんな我が儘認めねぇです。この変態野郎」
「変態野郎って?」
「き…」
「ん?君?」
「誰もそんなこと言ってないヨ」
すっげー嬉しそうに笑ってるのが妙にイラッとするのは何故だろう。あーコイツがうざいからか。というかなぜコイツにペースを乱されなければならないのでしょうか。
「ま、嫌なら逃げるだけだろ」
「そんな横暴な」
「その前に俺を名前で呼べばいいんじゃねぇーの」
「それもそうか」
というより関わらなければいいんじゃないか。全部シカトで事件解決だわ。
「つーかよ」
「……」
喋りかけないで頂きたい。
「俺のこと好きになれよ」
「は?え君バカなの?頭弱いの?」
「冗談に決まってんだろ。しかも俺の勝ちだ」
冗談なんて当たり前だと叫びたい気持ちを抑えたのは偉いよね。でも何が勝ちなのかちょっと理解できー………!わたしさっき君って言っちゃった?言っちゃったよね?
「名前ちゃん」
「いやああああああ!」
名前を呼ばれて鳥肌がたち、更に近づいてきたため全力で教室を出た。お母さん、初めて授業をさぼってしまいました。でもこれもすべてアイツのせいです。
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