「ほんとごめん!」

「はあ…クレープ1個」

「うん!ありがとう!」


学校に着いて、授業の間とか昼休みとか放課後(まさしく今)いのに説明して散々怒られてクレープ1個で許して貰えることになった。いの、ありがとう。もう友達じゃないとかそういう事いのは言わないとこ好きだよ、うん。あ、何か照れるなコレ。


「で、ついでに買い物も済ませちゃいましょ」

「いの好きー!」

「名前がデレるの珍しいわね」

「デレてないよっ!」

「まあ、いいわ」


デレるも何もわたしツンデレじゃないよ。いのさん、大丈夫?ごめん、ちょっと本気で心配した。でも前より感情表現豊かになった?とは自分でもたまに思わなくもない。


「にしても名前に彼氏ねー」

「あえて言わないで」


恥ずかしから。しかも相手は先生だし!


それからいのにクレープ奢ったあと大きいショッピングモールに行って洋服と雑誌を買った。
洋服はわたしが優柔不断だからなかなか決まらなくて、いのに何回も聞いて普段より少し大人っぽい感じのを買った。先生と並ぶのに幼すぎる格好はあれかなあー、なんてふと思ってしまったから。
わたしの頭の中は先生が中心に回ってるんだな、なんて思ったら恥ずかしくなった。いのもいつもこんな感じなんだろうな。


「…あ」

「名前?」


…あ…れ…?
あれって先生?…でも…


「名前?」

「あ、ごめん。なんでもない」


この場から早く立ち去りたい。逃げ出したい。でも、


「あれって先生…?」


ああ、いのも気づいてしまった。


「…多分」

「隣さ…女の人だよね?」

「…そ…だね」


先生の横を歩いていたのはわたし何かと比べ物にならないくらい綺麗な人で。年は多分先生と同じくらい。先生も綺麗な人も笑顔で歩いてる。先生、わたしといるときそんなに笑顔だったっけ?わたしといるときはっ…

ああ、きっとわたしなんて遊びだったんだ。全部が冗談でおふざけ。それをわたしが本気にしてしまっただけ。


「名前…」

「ごめん、先帰るね」

「名前っ!」


ごめんなさい。走って逃げ出して、いのを置いてって。こんな我が儘なわたしでごめんなさい。

その後は、ただ無我夢中で走り続けた。



先生は別にわたしのこと好きじゃなかった。

先生にとってわたしは、ただの生徒。

先生の暇潰しの道具。


先生なんか先生なんか嫌い大嫌い。そう言えたらどれだけ楽になるのだろう。もう先生を好きじゃないなんて言えないよ。




貴方を好きになり過ぎてしまった