PM12:55
残された時間はあと5分｡なのにまだ着かない!着くどころか渋滞に巻き込まれてるよ!これ大丈夫なの!?本当どうすんのシカマル…もう帰ろう、ナルト１人のせいにしようよ…｡
なんて言えないけどね!一度決めたらやるのがシカマルだし、それが奈良探偵事務所の唯一のルールでもある｡
にしてもシカマルはタクシーに乗ってからは､焦りもしないし時間をすごく気にしてる訳でもない｡わたしとは正反対で余裕まで感じれるほど｡ずっと窓から空をみてる状態｡なんでそんなに余裕なんだシカマルさん｡
だけど､そんなシカマルを見てたら焦ってても仕方ないし､なるようになるよね､って思えてきた｡怒られたら怒られたでその時だけ我慢すればいいんだしね｡
「なんかついてっか？」
「は？」
「さっきから視線が熱い」
「な､そんなに見てないし何もついてない!」
嘘です｡がんみしてましたよ､ええもうシカマルに穴があくくらいに｡だけどずっと空見てたじゃんか!視線に気づいてんならもっと早く言うとか､こっち見るとかしてよ｡本当心臓に悪いから｡
ってシカマル肩めっちゃ揺れてますからね｡笑い堪えきれてないからね？もう笑うなら声に出して笑えばいいじゃないか!もうシカマル嫌い!…いや好きだけど｡ああ､もうわたしのバカ!何１人で言ってんだ本当｡
「過ぎたな」
「…え？」
「時間」
「うわあああああああ!」
「うるせぇ」
いやだってさ、PM01:03だよ!?確かにさっきは､焦っても仕方ないとか色々思ったけどね!?でも実際に過ぎてそんなに余裕があるのシカマルくらいだと思うよ!?むしろなんで余裕なんてあるのか聞きたいくらいだよ!
怒られるんだろうなあ…｡ナルトにも何か言われるかも｡あ､でも全ての原因はナルトにあるんだから､それは無いか｡でもナルトだからなあ｡他の出場する人にも何かコソコソ言われるのかなあ…
ってわたしどんだけ考えてんのさ｡シカマルが任せとけって言ってくれたんだから､きっと大丈夫だよね｡信じなきゃダメじゃん｡
だけどシカマルどうすんだろ｡やっぱり遅刻は素直に謝るしかないよね？ああもう考えるのはやめよう!うん!
「もうすぐ着くぞ」
「PM01:10…10分遅れだ」
「気にすんなよ」
「…うん」
気にするけどね!でも､もう考えても本当にどうしようも無くなったから全てシカマルに任せますよ｡
あ、着いた｡うわっ､でかっ!テレビ局でかっ!む､無駄に緊張してきた｡ってシカマルそんなさっさと歩いて行かないで!っていうか置いてがれたら迷子になるから!
というかどこに行けばいいの？
建物がでかすぎて､どこで“クイズを解いて君も名探偵!"(タイトル長いよね、覚えずらいよね。もう君も名探偵だけで十分だよね。)をやってるのか分からなくない？
「３階のＢスタジオ」
「…？」
「そこで番組やってんだよ」
「なんで知ってんの!?」
「受付で聞いた」
あ、そうですか。そう言えば、受付とかいう便利なものがありましたね。そんな考えさえ浮かばなかった自分が何か恥ずかしいよ。
テレビに出るとか今から緊張してきた。あ、でもその前に面倒事たくさんありそうだなあ。
「ここだね…」
「行くぞ」
「うん」
躊躇いもなく開けてくよこの人。心が痛い!
「遅れてすんません」
あ、やっぱり謝るんだ。…ん？てことは怒られるのか!そういうことなのか!?
「２人とも遅いってばよ!」
ナルトの野郎…これ終わったら覚えてろよコノヤロー!!あんたの連絡が遅かったからでしょうがー!!
「困るよ君たち〜遅刻なんてされちゃあ」
プロデューサーかな？とりあえずお偉いさんだよね…
「来る途中に子供が産まれそうな妊婦さんに助けを求められて、病院まで連れてってて、遅れてしまいました｡本当すいませんでした｡｣
妊婦さん？病院？産まれそうな？子供が？
…シカマル嘘つきまくりでしょ!ああ更に心が痛いです｡わたしの良心がチクチクします｡
でも怒られなかったら喜んじゃいますけどね!
でもさ､シカマル｡こんな嘘すぐバレると思うのはわたしだけかな？そもそもこんなの信じて､遅刻を許してくれたり怒られなくなるなんてことは…ありえないでしょ｡
｢そうか､そうだったんだな!なら仕方あるまい!さっさと自分たちの席に座りなさい｣
そうそう仕方な…は？え疑わないわけ？てか仕方ないですむんだね!うおわぁい!あ､変な声でた｡じゃなくて､プロデューサー泣いてるし!感動したの？え､感動したの？
シカマルすごい笑顔なんですけど｡もちろん悪戯が成功したとき的な笑顔｡
嘘も大事
(良心が痛い…)
(良心あったのかよ)
(当たり前でしょ!)
(なら怒られる方が良かったのか…わりぃことしたな)
(……良心ないです)