カシャッ
カシャッ
カシャッ
「お前とりすぎだろ」
「そう?」
「あー、めんどくせぇ。あのなぁ、もっと時間の間隔をあけて撮れ。」
「えー「文句ねぇな?」」
いや本当すいませんでした。土下座でもなんでもします。
つい写真撮るのが楽しくて楽しくて、いつもより多く撮っちゃただけなんですって!もう肝心なとこだけに集中して残りに全身全霊で取り組みます、うん!
だから、あの、その、そんなに睨まないで下さいよ!
あ、ため息つくなよ!シカマルのくせに。人がせっかく反省してるのにいいい!
「何がくせにだバーカ。新人に言われたくねぇよ。」
え?あれ?わたし声に出してないよね?え、シカマルって読心術なんて高度な技使えたの!?ちょ、わたしに何も言わずに1人でするなよ!つーかわたしより先に取得するなんて!
「読心術じゃなくて全部声に出てんだよ」
「うそ!?まじ!?」
そんなベタな展開ありなの?ねぇありなの?
「現にいまありなんだから、ありなんじゃねぇの?」
「さいですか…」
なんか…気に入らないけどま、いっか。
「写真も撮れたし、そろそろ戻んぞ」
「うん!」
これで今日の仕事はだいたい終わりだろうな、うん。
あれ?でも写真さっき撮ったのが最後じゃね?結局全身全霊をかけて撮った写真0枚だよ!
でも戻んぞって言うときのシカマルめっちゃ、笑顔だったしな、うん黙っとくのが1番だよね。
「ただいまーっ」
やっと事務所着いたよ…
今回は徒歩じゃ遠すぎだったよシカマルくん。わたしに自転車を与えてくださいシカマルくん。
「名前、お茶くれ」
「はーい」
これでもシカマルの助手だからね。お茶とかそういうのは仕事だから文句はないのですよ。
「どうぞー」
「あぁ、さんきゅ」
シカマルはさっきの写真の焼き回しと整理中。めんどくせぇとか言いながらちゃんとやってるのがまた可愛いよね。
さて、わたしは依頼者を呼ぶ電話をしようかな。
「もしもし?」
「もしもし、あの奈良探偵事務所なんですが今日事務所に来て頂くことは可能でしょうか?」
「あ、すぐに行きます」
「では、お待ちしております」
敬語使えてたかなー?学力ないからなー。シカマルの教え方に問題ありだな、うん。ってこんなことしてる場合じゃねぇぇぇぇ!
はやくシカマルに言わないと何されるかわかんないよ!
「シカマルー!すぐに依頼者の人くるって!」
「あぁ、わかった」
おぉ、いつになく真剣。やっぱりかっこいいあ。シカマルのせいで心臓が破裂しそうなんですけど!
シカマルの横のデスクでそんなこと考えたり妄想してるうちに、依頼者が来て、浮気の証拠として今日撮った写真を見せながらシカマルが説明して浮気調査、つまり今日の仕事は終わった。
「シカマルー」
「なんだよ」
「なんで男って浮気なんてするんだろうね」
浮気調査は今回が初めてじゃない。むしろもうたくさんしてきた。でも今だにやる理由が分からないし、泣きながら帰る奥さんを見るのはつらい。
「さぁな」
そういうシカマルの目もどこか寂しそうだった。
日常
(ま、俺は浮気なんてしねぇけどな)
(相手がいなくて、できないの間違えでしょ)
(………)