しばらくして刑事さんたちが旅館に到着。遺体はすぐに運ばれて、女将さんもついていくと思ってたら、女将さんは、お客さんやわたしたちと同じく状況説明と事情聴取を受けるために残っていた。頭が状況に追いつかなくて、なんとなくシカマルにひっついてた。しばらくすると、シカマルが刑事さんの沢山いるところに歩いて行く。


「…ネジじゃねーか?」

「…シカマルか」


突然1人の刑事さんに声をかけるシカマル。お友達か誰かなのかな、と現時点では、勝手に思っておこう。相手は聞く限りではネジさんというらしい。


「お前刑事になったんだな」

「そういうお前は?」

「探偵」

「…探偵か…考えられんな」

「…シカマル」


取り敢えずネジさんを紹介して下さいいい!寂しいから!という意味を込めつつ、まだ繋がっている手を軽く引っ張って名前を呼ぶ。


「あー同級生で、「日向ネジだ」…」

「初めまして。シカマルの助手の名前です」

「ああ…助手だったのか…」


俺はてっきり…とか何とかブツブツいい始めたネジさんと呆れ気味のシカマルは、きっと放置しても許されるよね。ていうか下の名前で読んじゃったけど、まあいいよね。日向ってヒナタと同じ名字だから、ややこしくなりそうで嫌なんだよね。あ、ヒナタは仲のいいお友達です。


「死因はなんだったんだ?」

「まだはっきりとは分かっていないが、持病が悪化したものだと考えている」


病死かあ。良かったー。間違っても殺人とかじゃなくて!そんなのに首つっこんだら逆に命が狙われそうで怖いし。ほら、例えばコ●ンくんで言う黒の組織みたいな!!でもベルモットって美人さんだよね!わたしも助手として変装の練習しようかな。でも、うん、やっぱり怖いよね、あの組織。って知らない人には伝わらないいいい!!


「お前の頭を見込んで1つ頼みがあるんだが」


その言葉にシカマルがちょっと驚いてる。ってことは、ネジさんはあんまり人に物を頼んだりしないタイプなのかな?あれ?わたし人間観察得意になってない?ちょっと楽しいんだけど!


「いいけどよ、そのかわり俺の頼みも1つ聞いてくれ」

「いいだろう」


え、シカマルが刑事さんに何を頼むことがあるのさ。仕事くれとか?いや、さすがにそんな横暴なことはしないか。逆に仕事手伝えとか?うーん、どれもピンとこないなあ。でも、刑事さんに頼まれるとか、シカマルってやっぱり頭が凄いんだね!!周りからも認められる存在なんだなー。わたし助手として何の取り柄もないけど…ま、いっか。


「で、頼みっつーのは?」

「そうだな…事件に関することだ」


こ、この展開…!!すごい探偵っぽい!え、やっぱり実は病死じゃなくて、犯人はこの中にいる!みたいなそんな展開ですか!?徐々に不安も無くなって…むしろこの展開に少なからずドキドキしている自分がいる。
好奇心やらなんやらで、目をキラキラさせていたら、シカマルにぶたれたので反省した。確かに仮にも人が亡くなっている状況を、そんな風に思っちゃダメなのは当たり前だ。


「状況を説明しよう」


ネジさんがそう言うと同時に、わたしとシカマルはネジさんに集中した。


亡くなったのは女将さんの旦那さんであり、この旅館のオーナー。死因は、おそらく病死。これは、ほぼ100%だそうだ。従業員が使用する休憩室で倒れていたのを、若女将が見つけ、叫び声によって女将さんや従業員、私達のようなお客さんがぞろぞろと集まった。


「事件なんてあるか?」

「この後だ…」


ネジさんを含めた刑事さんたちが、先ほどオーナーが普段使っていた机の上に1枚の紙が置いてあるのを発見したらしい。


「その紙の内容が少し変なんだ」

「「変…?」」


あ、はもった。なんか嬉しい。ってそんなこと思ってる場合じゃないんだよ。


「ああ…遺書みたいな感じでな…最初は普通の文、最後の方に財産について書いてある。一番最後に金庫の暗証番号を記しとく。それはこの…までしか書いていない」

「書いてる途中で病気が悪化したとかじゃないんですか?」

「俺もそう考えたんだが、近くにペンは無かった」

「つーことは、書き終えてた。つまり、その紙は、それで終わりってことか」

「ああ、多分な」


途中なのに書き終えてた?頭がついていかないんですけど!だって大事な暗証番号は分からないんだから、やっぱり途中なんじゃないの?


「とりあえず、その紙を見ねーと何とも言えねーな」

「ああ、向こうにその紙の写真がある」

「名前、行くぞ」


返事をする前に手を引っ張られて、歩きだすシカマル。その紙には、すごい興味があるようで、どこか楽しそう。




(頭の中ぐちゃぐちゃ)
(もーすぐすっきりすんだろ) 
(うーん…) 




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