「もうすぐ卒業っすね」

「うん」


まだちょっぴり肌寒いこの屋上で、シカマルと2人きり初めて会った日もこんな日だった気がする。別にシカマルとは付き合ってもいないし、ただの先輩と後輩の関係。そう、先輩と後輩。


「受験校県外っすよね?」

「まあ…ね」


将来どうしても叶えたい夢があったから、だから近場の学校は選ばなかった。後悔してない?と聞かれたら、はっきりと、してない、とは言い切れないけど。友達はもちろん、誰も知らない人の所へ行く勇気はないから。それでも叶えたい夢だから。だから、そんなに悲しい顔をしないで。今日が最後だから。


「先輩のこと好きっすよ」

「うん、知ってる」

「今も、これからも」

「…うん」


薄々気づいてた。口には出さないけど、多分わたしがシカマルを好きだってことも、シカマルは知ってる。でも付き合おうなんて言わない。否、言えない。

私たちは、まだまだ子供だから、遠い距離での繋がりなんて、いつかは壊れてしまうのだと。信じて疑わない。今、どうしようもなくシカマルが好きで好きで仕方ないけれど、わたしは寂しさに勝てる自信がないの。ずっとずっと好きでいる、ってはっきり言える自信がないの。

だから、わたしから好きだなんて言えない。

シカマルは、全てを知っているかのように、わたしに返事を求めてはこない。そんな心をわたしは、どこまでも利用する。

そんな最低な人間。

だから、そんな優しい笑顔でわたしを見ないで。

どうせなら、大嫌いだとそう言って。

そしたらわたしは全てを忘れられるのに。…ううん、忘れる努力を精一杯する。





そんなちっぽけな願望と覚悟を決めたのは、ちょうど1年前だっただろうか。わたしは、今でも、君を、奈良シカマルを忘れられなかった。君の笑顔が声が全てが、体に染み付いて離れない。

また、君と別れた肌寒い季節がやってきた。

今、君は元気でいますか?




「名前先輩!」

「……シカマル…?」

「好きっすよ。もう野放しにしとく気なんてねぇんで」




懐かしい君に飛び込む







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