「そない怯えんとコッチ来ぃや。」
二重が目立つ垂れ目から零れそうな涙。
掬おうと手を伸ばす度に極度の警戒から体を離される。
明らかに怯えているのが分かるから怯えないで、と声を掛けてみた。
途端に八重歯見せて完全に威嚇の体勢。
「いやや! どーせ、おまえもおれのことおそうんやろ!!」
( 猫にしか見えん。 )
彼が言う襲うとは色々な解釈が有るが、
ブカブカ過ぎるパーカーの下に見えた傷はまさか。
「……襲わんからさ、名前教えてや?」
「ほんまに? ほんまにおそわんなら、おしえてやらんこともない!」
「おん、ほんまに襲わん。やから、教えて?」
見た目五歳児の子供に手を擦り合わせる俺……。
( 情けないな。 )
「ひな。おれ、ひなっていうねん。」
「ひなちゃん、かぁ」
「ほな、おまえは? なんていうん?」
早速主導権握ったかのように上から目線。
でもしょうがない、従っておくしかない。
「忠義。」
「……たつ、でええよな?」
「おん」
パーカーの下の体は小さくて、脆く見える。
其れに五歳児らしく可愛らしい顔。
よく似合うあだ名? 名前?
なのに、浴びせられるのは男らしい言葉。
( 何で俺コイツ拾ってきたんだっけ? )
(( 成人大倉とショタ雛ちゃん ))
有難う御座いました。
また来ていただけると幸いです。