捧げもの | ナノ
Sing!Sing!Sing! 1/6


「悟空さ!オラはもうおめぇと一緒には居れねぇだ。オラはこの家を出てく!」

修業から帰って来たオラに向かってチチはおかえりの代わりにこの言葉をぶつけてきた

「急にどうしたんだ?どっか旅行でもいくんか?」

1人で旅行ってのも珍しいなと思っていたら

「悟空さ・・・オラと」



離婚してくれ・・・



そういってチチはピラピラの紙を差し出してきた。それに書いてあった文字は


【離婚届】


チチはオラにこの紙を渡し泣きながら出て行った




オラは最初、なにがおこったのか分からなかった
もともとオラが結婚の【け】の字も知らなかったのと同様に離婚の【り】の字も知らなかったんだ・・・



だから

ブルマから離婚について聞いたときはびっくりしたし傷ついた


もう、チチは帰ってこねぇことを知ってしまったから



Sing!Sing!Sing!



あれからどれくらいたったろうか?
1年は過ぎたと思う。いやもっとかもしれねぇ・・・


チチが居なくなって家事の大変さに気付いた
洗濯もしなきゃねぇし、皿も洗わなくちゃならねぇ
時間もかかっちまうし、チチはよくこんなことが出来たなとなんども思った

オラには学者になった息子の悟飯と、今年16歳になった息子の悟天がいる
サイヤ人の血をひいてるだけあって2人はオラに似て大食いだから大変だ。悟飯は忙しい時以外は手伝ってくれるけど悟天は手伝ってくれねぇし・・・


「はぁ・・・」

最近ため息の回数が増えたな・・・と思う。ため息をつくと幸せが逃げるっていうけど、こればっかりは仕方ねぇよな

「お父さん、大丈夫ですか?」

「えっ?あ、あぁ」

「やっぱり辛いですよね。お母さんがいないと」

「あぁ」

なんでこんなことになっちまったんだろうか?

「はぁ・・・」

またため息。止まりそうにない



そうやって悟飯と2人で皿を洗っていると

「あっヒロインちゃんだ!かわいいーっ」

テレビを見ていた悟天が声を上げた

「悟天、オメェもテレビばっか見てねぇで手伝えよ」

「待って待って!今ヒロインちゃんが出てるから」

「誰だ?そのヒロインって」

「歌手だよ歌手!今話題の超人気歌手!その歌声は【天使の歌声】って言われてるんだから」

「あっその人の歌声、ボクも聴きましたけどすごいきれいでしたよ」

「ねっ?兄ちゃんもそう思うでしょ?今では男からも女からも人気があって、ライブのチケットも物凄く売れてるんだってさ。あっヒロインちゃんが歌うよ」

オラは歌手とか芸能人とかの知識は皆無だったからよくわかんなかった

ただ、悟天達に絶対聴いたほうがいいと言われたから聴こうと思った

最初は何気なく聴いていようと思ったけど


〜♪〜♪


ヒロインの歌声はホントに綺麗で思わず聞き惚れてしまった


「す、すげぇ」

「でしょ!」

「やっぱりいいですよね」

知識が皆無なオラでもすぐに分かった

ヒロインの歌声はホントに天使みたいだって





___________

その翌日

「じゃっオラ買い物行ってくるな!」

「「行ってらっしゃ〜い」」

オラは買い物をしに町へ向かった




町上空

「よしっ今日も頑張るか」

と張り切って飛んでいると


「ん?」

とある場所が目に入った

細い路地裏に男が数人いた

「あっ!」

なんとその男数人は1人の女性を囲んでいるではないか!

「いけねぇ!」

急いでオラはその場所へ向かい降り立った



「頼むから家においでよ〜。別にいいだろ?」

「俺達、お前のファンなんだぜ?」

『やめてください。離してっ!』




「おいっ何やってんだ、そんなとこで!」

オラの声に反応して男数人が振り向いた

「な、なんなんだよテメー!邪魔すんな」

「嫌がってんじゃねぇか」

「うるせぇ!」

『たっ助けてください!!』

「ん?」

この声、どっかで・・・?

「やろうどもやっちまえ!」

突然、オラに男達は刃物をむけ襲い掛かってきた!

『危ないっ!』

「死ねぇ!!」

1人のナイフが心臓を目掛け突き出された



が、

パシリ

「そんなもんじゃオラ死なねぇぞ」

あっさりと止めて

パキッと刃物を軽々と折っちまったら




「コイツ、化け物だぁーっ!!」

みんな悲鳴を上げて逃げちまった



『あ、ありがとうございました!』

「いいって!」

にしても、この声やっぱどっかで聞いたことが

「オメェ、名前は?」

『えっ、私ですか・・・?』

「あぁ」

オラがそういうと、そいつは少しためらったあと、口を開いた

『私・・・ヒロインっていいます』

「ヒロイン・・・?どっかで聞いたな、その名前」

『あの、一応歌手やっているんですが』

「・・・あぁっ!?」

思い出した!昨日テレビで歌ってたヤツだ。どうりで聞いたことある声だと思ったぞ!

「ヒロインって昨日もテレビに出てただろ?ホントに本物なんか?」

『えっえぇ、一応。そんなに似てません?』

「いや、そういう訳じゃねーんだ。びっくりしちまって」

そういえば悟飯と悟天がヒロインのサインってやつ欲しがってたな

『あの?』

「ん?」

『名前、教えて頂けませんか?』

「えっ?あぁ。オラ、孫悟空っていうんだ」

『そうですか・・・。その、ありがとうございました。』

「いいって!」

『な、何かお礼をしたいんですが』

「えっ・・・。じゃ、じゃあサインってやつ貰っていいか?オラの息子がオメェのファンってやつだから」

『そ、そうなんですか?嬉しいです。・・・でもサインだけでいいんですか?私それだけじゃ納得が・・・・・・そうだ!』

「どうした?」

『もし、迷惑じゃなければ家におじゃましてもよろしいでしょうか?』

「?」

『ちょうど今日フリーなんでよければお礼に家で歌って行きたいんです。私、一応歌手ですからやれることと言ったらこれくらいしかないけど』

「・・・。」

『ダメ、ですか?』

「いいんじゃねぇか?きっとみんな喜ぶぞ!」

『ありがとうございます!』

「へへっ」

まぁちょうどヒロインの歌声も聴きたかったとこだしな

「そういうことならいくぞ!」

『そういえば家はどちらに?』

「パオズ山だ!」

『えぇーっ!?どうやって行くんですか!?』

「しっかり掴まってろよ?」

そう言ってオラはヒロインを抱っこして空へと飛び上がった










『と、飛んでる』

「気持ちいいだろ?」

オラはヒロインに負担をかけねぇ様にゆっくりと進み始めた

『あ、あなたは一体・・・?』

「・・・舞空術っていうんだぜ?これ」

『ぶくう、じゅつ?』

「あぁ、オラ武道家なんだ」

『そうなんですか。どうりで強いはずですよね』

ニッコリとヒロインが笑った

「っ・・・」

オラは照れ臭くなって、ヒロインから目をそらした

『でも、なんか恥ずかしいですね抱っこって。まるで恋人同士みたいで』

「へっ?」

『あぁっごめんなさい!悟空さんって奥さんいましたよね?何言ってるんだろ私』

「かまわねぇよ。いねぇから」

『えっ』

ヒロインが驚いた顔してオラを見た

「離婚したんだ。」

その言葉を聞いてヒロインは心底驚いた様だった

『どうして?悟空さんは優しいし強いし、顔もカッコイイし・・・文句なしのいい人じゃないですか・・・?』

「・・・。オラ、武道家だからいっぺぇ修業してたんだ。でも、修業に集中しすぎて働いてなかったんだ。きっとアイツはそれに嫌気がさして・・・」

『・・・。』

それを聞いてヒロインは申し訳なさそうにオラから視線をそらした

「気にすんなって、オメェは関係ねぇ。オラがいけなかったことだしもう過ぎたことだからな」

『ごめんなさい・・・。』

「いいって。オラ、オメェのそんな顔見たくねぇな、笑った顔が見てぇな!」

と言ってオラは笑ってみせた









[*前] | [次#]

しおりを挟む

目次へ







メイン♪小説へ戻る

TOPへ



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -