くしゅ、小さなくしゃみがでて、Nはどうやら寒いのだなあと思った。


Nの肌は白くていいなと思う。乾燥もしないし荒れてもないし。私はまあ外に繁盛にでないから白い方だけど、すぐ季節や天気に左右される。現に今もきっと鼻が赤いことだろう。
寒い。鼻と指先なんか特に冷たい。


だが、Nは私の何倍も寒いはずだと思う。白いパーカーにジーンズに中は薄手のTシャツで、寒いに決まっているのだから。


『大丈夫?』

「平気だよ、キミの方こそ寒くないの?」

『平気。中にいっぱいきてるもん』

「ふふ、あったかそうだね」


マフラーにタイツにもこもこなコートにカーディガンに長袖のワンピース。Nと比べたらフル装備だ。寒いけどもちろん暖かいですよ。

それでも気にかけてくれるNは優しい。そういうところが好きです。細かいところまで気がつく男性って素敵ですよね。


後ろから手が伸びてきて、肩のあたりで交差する。ぎゅう、と距離がゼロになって、ドキドキが広がった。
ぱっと見はすごく細く見えるのに、こうして密着すると自分がNに包まれていて、おっきいなあとおもう。どきどきどきどき。


「ほんともこもこ。なんかこんな感じのポケモンいそう」

『それ、喜んでいいのかな、』


「どうだろ、…っ」


くしゅん、
くしゃみ、2回目だ。

わたしのどきどきがNのくしゃみによって緩和された。


『N風邪なんじゃない?寒いもんそれ』


「…、まあ寒いかと聞かれたら寒いけど耐えられるよこのくらい…」


Nの腕から抜け出して、対面。


『どうして寒さに耐えようとするの?』


なぜ寒さを我慢する必要があるんだ!

半ば怒鳴るように言うとNはびっくりとした。というのが顔でわかった。

「だって、プラズマ団の、王だし…、」


Nはここの地方出身じゃなくてイッシュ地方というところからきた王さまらしく、たまにこういうときに口走るのだ。


「このくらいは、どうでもなきゃ、さあ」


『いやいやNが王さまだからってやせ我慢する必要ないです』


私がいつもの何倍もの音量で豪語したせいかNはしゅんとなった。


「…、ごめん。」


『あの、いやこっちこそごめんなさい。
 でも我慢したりしないでね。』


変なとこ意地っ張りだし。体に毒だろうし、きっと目に見えないストレスのはずだ。


「うん。
 ありがとうというべきなのだろうかな?いうべきだよね、…うん

 ありがとう。」


Nは素直な人で思ったことの一部を口に出しちゃうのだけれど、言ってもらった方がいろいろわかって私はうれしい。
それに一人でうんうん悩むNはかわいいと思います。


ほわりと笑ったNに、私も笑った


『どういたしまして』

私のピンクのマフラーを首から解くと、外気がひやりとして縮こまった


『、Nマフラー貸してあげる』

「…うん、気持ちだけ受け取るよ」


即答。


がーん、
ショック。あわよくばカップルでつけるあれをできたら幸せとか考えてたのに!(い、いやNが寒そうだから貸すのが大前提ですが)

すると私の顔をみて悟ったのかNが渋い顔をした

「…はずしたら寒いでしょ、

それに、その桃色のマフラーは、キミだからかわいいんだよ」

桃色のマフラーはつけられないとの後者が大元の本音とみた。いや、べつにかわいいといわれて照れてなんかない。うれしくなんかないぞ!


『Nにも似合うよ?髪の色とパステル同士で似合う。かわいい』


これはほんと。ほわほわした組み合わせ。かわいい。優しそうな感じ。

しかしNはさらに苦い苦い顔をした


「かわいいっていわれても…ボク、男だよ、」


しまった!


「まあ、ボクは、大丈夫だよ」


『…!それでもNと一緒に寄り添ってマフラーつけたいの!』

いかん、と思ったら口が滑ってしまった。


「え?あ、…」


ばっちり聞こえたらしいNは、考えるそぶりをしていた、ので、一応もう一押ししておく。駄目だったら諦めますしつこく嘆くけど。


『だめかなあ?』



「…、わかった、いいよ。」



なんだかんだで私がいうことをだいたい考慮してくてくれるNはとてもいい旦那さんになるんだろうなとおもう。


長めのマフラーを巻いて、あまりをNに渡した



『Nだいすき』

「ボクもすごくすきだな」


寄り添って、Nがわたしの歩幅に合わせてくれて、Nが暖かいといいながら笑うので、嬉しくなって私は彼と握る手にすこし力を入れた





終わらない歌を刻む




◎Nさん企画さんに提出させていただきました。
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