short-01

「局長、こちらです」
機関員の一人が仮設テントへとインテグラを促す。
テント内には、既に数人の機関員と最初からいたのであろう警察官がいた。慌ただしく動く機関員とは違い、警察官は困惑しているようだった。
「ヘルシング卿。我々警察が現場へ行かずに、本当に大丈夫なのですか?」
ヘルシング機関が動くまで現場を取り仕切っていたであろう男が、インテグラに声をかける。インテグラは男を見返し、口を開いた。
「大丈夫ですよ。第一、あなた方が行ったところで死人を増やすだけです。一体、何人の警察官が帰ってこないとお思いですか」
「ですが…」
「すでに精鋭を三名向かわせています。一人はまだ新米ですが、問題ありませんよ」
食い下がる男に、話はお終いだというようにインテグラは言った。
「局長、無線の準備ができました!」
「よし、繋げ」
機関員がインテグラの言葉と同時に無線を繋ぐ。
無線機からは、酷いノイズと共に声が僅かに聞こえた。
「おい、聞こえるか」
ノイズに眉を顰めながら、インテグラが無線機に向かって話す。
途端、ノイズが止み、音が鮮明になった。
「聞こえているなら返事を」
『早く終わらせたいんだ。セラスもいることだし、いつもみたいに余裕こいてんじゃねえぞ』
インテグラの言葉は、無線機から聞こえてきた声に阻まれた。
回線が合ったのはいいが、どうやら向こうは無線が繋がっていることに気が付いていないらしい。
「おい、聞いて」
『こちらの台詞だ。秋、私ではなく自分の心配をしたらどうだ』
『んだとこの野郎!』
再度、インテグラの言葉は阻まれる。
インテグラの口元が引き攣った。
「お前ら、いい加減に」
『二人ともやめてくださ…ああああ無線!無線繋がってますよマスター!秋さん!』
『ん?あ、本当だ。おーい、インテグラ聞こえるかー?』


「何やってるんだ、あいつら…」
無線機から聞こえてきた声に、インテグラは頭を抱えた。
「あ、あのう…」
先程まで話していた警察官が、無線機とインテグラを見比べながら口を開く。


「本当に大丈夫ですか…?」
『もしもーし、インテグラー?返事してー』


テント内に、男の心配そうな声と無線機からの能天気な声が響いた。


end

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