あなたと過ごせた一年はとても幸せでした
だから、こうして今も一緒にいられる嬉しさがずっと続くように願っています
◆A HAPPY NEW YEAR〜and TOSHIRO〜◆
「ふわっ…隊長、すごい人ですよ」
「――…おい」
「はい?」
「"隊長"じゃないだろ」
「あ…と――…冬獅郎、」
鼻まで私があげたマフラーで覆った隊長―――冬獅郎の不機嫌そうな顔をしていた
―――今日は一月一日
一年の始まりでめでたい日
この日ばかりは死神の仕事もお休みで、私は一応付き合ってる冬獅郎と初詣に来ている
いつもは死霸装に身を包んでいる私たちも、今日は一張羅に包まれている
「おい!おいていくぞッ」
冬獅郎の晴れ着はすごく格好良くて、思わず見惚れてしまっていたようで、気がつけば冬獅郎は三歩先ぐらいにいた
「あ、うん!」
私は慌てて冬獅郎に駆け寄った
すると、冬獅郎は当たり前のようにスッと手を差し出して来た
「え……?」
私は差し出された手の意味が分からず、思わず首を傾げてしまった
すると、冬獅郎はまた怒ったような顔つきになる
「手だろ!!手!!」
そう叫ぶと一方的に私の手を掴みズンズン歩き出した
冬獅郎はいつもそういった行為を人前でやるのを極端に嫌がるから、今まであまり手を繋いだことなんてなかった
「――…人が多いだろ」
私があまりにも驚いていたので、冬獅郎は言い訳のように呟いた
でも、その耳は赤く染まっていて
それが寒さのせいだけでないと思うと、顔が緩むのは止められない
すると、笑うな、とでも言いたそうな視線が送られて来て、ますます笑ってしまった
お参りの列は人が多くて、なかなか進んでくれない
でも私はこのまま時が止まればいいって思うくらい、幸せ
繋がれた手のぬくもりが何よりも暖かい
「――…あたっかいね」
「あ?」
「手――…」
私がそう呟くと冬獅郎は一瞬、顔を真っ赤にして、でもすぐに手を強く握り返してくれた
――… こんなに幸せでいいのだろうか
思わず、そうノロケてしまうほど幸せ
どうか、冬獅郎が元気でずっーと一緒に居られますように
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