私が恋次を見つけたときにはもう恋次はソファーに寝ころんでいた
◆愛をこめて……◆〜1周年記念夢小説〜
私が任務を終え、六隊の部屋に帰ってみると、気持ちよさそうに寝ている恋次を発見した
いつもなら誰か来たら起きるはずなのに、それでも起きないということはかなり深い眠りということになる
確かに恋次は夜勤明けだし、眠くなるのはよくわかる
――… まあ、その恋次を待たせているのは私なんだけどね
私は足音をたてないように恋次の横にひざをつき、恋次を観察する
「……………………」
何も知らずに寝ている恋次をよそに私は観察を続ける
時々、眉間にシワをよせて口をもごもごとさせている
「プッ……!!」
私は思わず吹き出してしまった口を慌ててふさぐ
………………………………あ、そうだ
私はニヤリと笑い、机の上においてある筆をそっと取り恋次のほっぺに『あること』を書く
心の中で、起きませんように、と願いながら恋次のほっぺに言葉を書き終えた
「プププ…………!!」
私は筆を元に戻し、もう一度恋次の顔を見て笑ってしまった
「……〜〜んー……?」
あ、さすがに起きちゃったみたい
「おはよう、恋次」
「………ん?おまえ、来たら起こせよなー」
恋次は半分あけた目をしばしばさせながら、私の髪の毛に手を絡ませる
「恋次♪起きたなら、顔洗ってきたら?」
ムフフと笑いながら言う
「顔だァ?」
恋次は気だるそうにしているのを無理やり私は、恋次を起こし洗面所に行かせた
「いまのうち……!!」
私は瞬歩で部屋から逃げる
すると逃げる途中で、恋次の叫びを聞いた
「なんじゃこりゃああぁぁあぁぁ!!」
***
「待てエェエエェェ!!このアマァァアアァア!!」
やばっ……!!
さすがに恋次、もう追いつかれそう
「お♪恋次、男前な顔になってるぞ!!」
「どこがですがァァアアァア!?!?」
途中、檜佐木さんとかにからかわれていた
………でも、そろそろ誤らないと後が怖い、な
私はそう思ってキキーッと屋根の上で止まって、両手をあげる
「ごめん!!恋次、もう降参!!」
「なーにーが、降参だー!?」
恋次は私の前で止まり、叫んだ
「ごめんってば!可愛いイタズラじゃない」
「どこが、可愛いイタズラだッ!!」
恋次は自分のほっぺを指差す
「い、いいじゃない……恋次好きでしょ、―――――――――鯛焼き」
―――そう私が恋次のほっぺに書いたのは、恋次の大好物の鯛焼きだった
「それを書くやつがどこにいるんだッ!!
俺とすれ違うたび、みんなに色々と言われたんだぞ!!!」
「どんまい☆」
「このヤロッ!!!」
「え?………ぅわッ!!」
いきなりの浮遊感にへんな声を出してしまった
気がつくと、屋根の上に恋次に組み敷かれていた
ふと顔をあげると恋次の手には筆が握られていた
「ゲッ……!?恋次、それだけは勘弁……」
「おまえにも俺と同じ気持ちを味あわせてやるよ」
ふふふ……と微笑む恋次に逆光で影をつくる
「ギャアアァァァア!!」
組み敷かれては恋次にかなうわけなく、私は色気のない叫び声をあげるだけだった
「でーきた♪」
恋次は満足気に笑うと、やっと私から離れた
「もぅ、なんて書いたの?」
私はほっぺを押さえながら聞くと恋次は
「内緒♪」
といってまた瞬歩でどこかに行ってしまった
私もどんなことを書かれていたとしても、とにかく顔を洗わないと……
私も恋次の後を追うように走りだした
でも、さっき瞬歩したせいで体力の限界であり、帰りはゆっくり帰った
でも、帰る途中にみんなに『お熱いねェ』とか『ヒューヒュー』とか『今更だよな』とか言われた
先程の追いかけごっこのことで色々と言われ、恥ずかしかった
しかし部屋に帰り鏡で自分の顔を見て、みんなから言われたことがわかった
ぶっきらぼうに書かれた―――――――――
『好きだバカヤロー』
「れ、恋次ィイイィィ!!!!///」
2007/7/30 蒼雨ますみより
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