今日はホワイトデー。
バレンタインで貰った物のお返しをする日。
おれも貰ったのはいいんだけど正直お返しなんてしたことがない‥‥だって貰ったことすら無かったから。
だから何を返せばいいか どんな感じで渡せばいいかなんて一切分からない。



「名前‥‥っ!」

『ん? あ 田沼ー
どーしたの?』

「バレンタインのお返し
何がいいか分からないんだが‥‥」

『キーホルダー?
あ、ニャンコ先生にそっくり』

「うん ポン太‥‥じゃなかった、ニャンコ先生にそっくりだったから買ったんだ」

『ありがと!さっそく携帯に付けよっ』

田沼はもう名前に渡したのか‥‥
後はおれだけか‥‥
チョコのお返し───当然 塔子さんに相談出来ないし(チョコ貰ったなんて恥ずかしいから)ニャンコ先生は‥‥。
‥‥‥取り敢えず買ってはみたけど気に入って貰えるか分からない




「‥‥はぁ、」

「どうしたの?夏目くん」

「あ、多軌」

「二人を見てため息つくなんて珍しいね
嫉妬 じゃなそうだから多分バレンタインのお返しで夏目くんまだ渡してないんでしょ?」

クスッと笑って言う多軌。

「あぁ、バレンタインなんて貰ったことなかったし
お返しだってしたことないからな」

「そっかぁ‥‥、渡し方がわかんないとかあるよね」

「正にそれ」

「夏目くんらしいね、でもさ 名前の場合渡し方や物じゃないんじゃないかな」

「えっ」

「ほら、名前って人の感情や思いに敏感でしょ?
だから"値段だけで選んでる"とか分かっちゃうんだって、
それに さっき田沼くんが渡してたキーホルダー
値段は無難なものだと思うよ、それでも名前があんなに嬉しがってる理由わかる?」

「ニャンコ先生に似てるから?」

「それもあるかもしれないけど、名前は田沼くんの思いが嬉しいんだよ
だから 普通に渡せば夏目くんがどんな気持ちで選んだかとか 全部わかってくれるよ」

「そっか 、」


『あーっ
夏目と透ちゃんがいちゃいちゃしてる!
そんなの許さないんだからあああっ
透ちゃんは渡さないわーっ』

とか良いながら田沼を引っ張ってこっちに駆け足で来る名前。

「どうしたらそう見えるんだよ」

『‥‥雰囲気っ
なんか、こう ‥‥ごほんっ「おれ 実は多軌が好きなんだ」「えっそんな!夏目くん、いきなりすぎるよ、」「ごめんっでも多軌の顔見てたらなんか胸が苦しくなってさ 言っちまった」「キュンッ 夏目くん!」「おれの多軌への想いはノンストップだぜ」「終点駅は私の心よっ」みたいなー』

「きっとお前は頭がおかしいんだな」

「流石にそれは無いよ名前」

『こんなラブコメありだよ きっと』

「無しだな」

「無しね」

「無いな」

『あら酷い 田沼のくせに』

「何でおれだけっ」

『なんとなく』

「な、なぁ 名前」

何 声震えてんだおれ

『なにー』

「これ バレンタインのお返し」

名前に袋を差し出す

『おお ありがとうっ』

にっこり笑って受け取る名前

「よかったね 夏目くん」

「ああ、」

予想以上に喜んでくれてるみたいだ

『あけていい?』

「あ 開けるなら家にしてくれっ」

『ちぇっ わかったよー
でも 本当にありがとうね
すっごく うれしいよ』

綺麗に微笑む名前


きゅんっ



あれ、なんだ今の














(そういえばねっ 名取さんがサインくれたのーっあはーっ)
(でれでれだね名前)
(いや、有り得ない)












遅くなりもうした((

2011.04.25 ホワイトデー小説


もどる