短編 | ナノ
部活中、ふとさっきまで聞こえていた音が聞こえなくなり 首を傾げながらいつもの教室を見てみると開けたられた窓の縁に一人の少女が揺らいだ。

「よっ」
「あ、 えっと 渡くんだ」

少女は頭を悩ませ、少年の名を言った。

「だいせいかーいっ
何してんの? 音楽室なんかで」

自分の名前が出たことに嬉しくなり 少し室内を覗いてみると ピアノに向かって人が倒れていた。

「公生見てるの」
「あれ 寝てんじゃん」

「課題曲に必死で家でもあまり寝てないみたい さっき電池が切れたように眠っちゃった」

ピアノに突っ伏している少年を見て少し笑いながらしかし 悲しそうな顔をして言う。

「見ててたのしい?」

「楽しい、であってるのかな
こんな公生は初めてで いろんな彼を見れる事には確かに心が躍るわ でもやっぱり楽しいとは違うかもね」

「かをりちゃんや椿もだけど みんななんでこんなのがいいんだろうなあー!俺の方がかっこいいのに」

「あら かをはあなたが好きでしょう
椿ちゃんは弟みたいなものって言ってたし まあでも公生バカって感じはある」

「公生バカは名前ちゃんでしょ」
「そうかもね」

「椿が言ってた 有馬が辛そうにも見えるって」

室内に向かって窓枠に座る名前とは反対にグランドに向かって窓枠に座る渡。

「渡くんもそう思う?」
「俺にはあんまり そーいうのわかんねえ
けど かをりちゃんと二人で演奏してた時の公生は楽しそうだった」

視線だけをグランドから音楽室に移し 有馬を見る渡。

「そうね どっちも正解だと思う
今 公生はすごく辛くてたまらないと思う 思い通りに弾けなくて でもピアノが大好きでやめられなくて 二人の演奏は本当に素晴らしかった 、あの感動は歓声はきっと公生には忘れることのできないものでしょうね 今はきっとその真ん中 楽しいけど辛い、やめたいのにやめられない そんな最中なんじゃないかな」

「名前ちゃんって公生のことなんでもわかってるよな」
「かもね でも私が何度何年頼んでも公生は私とコンクールに出てくれたとはなかった それを彼女は、かをは いとも簡単にやってのけた
やっぱり 悔しいよね どれだけわかってるつもりでも それができないんだよ 私には」

「公生ってばこんっなに可愛い子に頼まれても断るなんておかしい!俺ならどんなことがあってもコンクール一緒に出るけどなっ そうだ、名前ちゃんこいつなんてやめて俺にしたら?」

窓枠から腰を退かし 名前を覗き込む渡。

「渡くんはかをが好きなんでしょう 私は公生が好き それじゃあ何も成り立たないよ」

クスクスと笑いながら言う名前。

「だよなー ほら傷の舐め合い的な?
振られた組でくっつくってよくあるだろう」
「私たちフラれてないし
傷の舐め合いもしないって」






(やっぱり恋をしている女の子の目は)
(きらきら輝いてる)


主→公生 がいつか
渡→主→公生 になればね

別に題名グラデが面倒なわけでは…


20141202*




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