※45歳雷蔵×20歳竹谷






好きだと言われた。

25も年上のおっさんに。



「…なに、酔ってるんですか?」
「酔ってないよ、今日は飲んでないからね」
「あの、…俺は男ですけど」
「知ってるよ」

血管が少し浮き出た大きな手で髪を撫でられると気持ちよくて表情が緩んでしまう。だからその前にその手を軽く払い除けた。
すると貴方は残念そうに笑うのだ。
その表情に一瞬胸が苦しくなって、赤くなっていた顔を隠すように下を向いた。

「僕もこの歳になって誰かを好きになるなんて思わなかったんだけどね」

なんでかなあ、好きになっちゃった。ごめんね、ハチ。
煙草と酒の匂いで満たされた薄暗い部屋の中、そう言ってまた残念そうに笑う。カーテンの隙間から細く差し込む外の光が、その笑顔をより何処か寂しそうに見せていた。
それが何故かぎゅっと胸を締め付けて、痛いほどに苦しくなった。

「なんで、ごめんねなんて言うんですか」
「だって気持ち悪いだろう?男で、しかもこんなおっさんに告白されたら。でも気持ちだけは伝えておきたくて」
「っ…おれ、は、…気持ち悪いなんて言ってませんよ」

ムッとして思わず立ち上がると、傍に転がっていたビールの空き缶に足が当たって、カランと音を立てて少し残っていた中身が絨毯の上に溢れてじんわりと馴染んでいく。
大きな声を出した俺に驚いたのか、いつもだるそうな目を少しだけ大きくして「意外だな」と小さく呟いた。

「…不破さんのそういう決めつけるとこ、よくないと思います。……でも嫌いじゃないですよ、それも」
「ふふ、ありがとう。…それで?ハチは僕のことどう思ってるのかな」

俺の顔が真っ赤なのに対して随分と余裕の表情なのが少し悔しくて、座っている不破さんのすぐ前にしゃがんで背中に手を回してぎゅっと力を入れて、好きですと一言。
恥ずかしくなってパッと体を離すと、頬を少し染めて照れるように、参ったなあ、と笑う不破さん。

「僕と付き合ってくれるのかい」
「…はい」


幸せそうにはにかんだ不破さんの目尻に皺が寄って、年の差を感じさせた。





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