Apartment & ××× 02【紫赤】 コンコン、とノックがあったのは俺が帰ってきてから三時間もしてからだった。最初のノックは無視。二度、三度あってようやく俺は扉を開けた。 「良かった、寝てしまっているのかと思った」 「……別に」 時計はもうテッペンを過ぎてる。けど、腹にどろどろとした気持ちがたまって寝るに寝れない。毎日睡眠時間が短くて嘆いているからすぐに寝れるはずなのに。 「もうすぐに寝てしまう?時間ある?」 「…、まだ寝ない」 「じゃあ少し話さないか?」 「……その前に風呂入ってきて」 「風呂?」 「いつもの赤ちんのにおいじゃない」 赤ちんはもっとシャンプーの爽やかなにおいをしていたり、たまに使う香水のにおいをしていたりする。なのに今は吸わないはずの煙草のにおいだとかよくわからない変なにおいの香水だとか酒のにおいとか。こんな赤ちん、俺の知ってる赤ちんじゃない。なにより、あの男に抱き着かれたままで居て欲しくない。 「ああ、あそこは喫煙だったからね。風呂に行ったらすぐに来るよ」 赤ちんはその後三十分しない内に風呂から上がっていつもの赤ちんになってた。俺が苛々してるのがおかしいくらいいつも通りで腑に落ちないけど、長風呂をする彼が三十分で自分の元に来てくれたことに嬉しさを感じてしまう。は、だめだめ!赤ちんは浮気したんたから。とりあえず部屋の前で話すことではないと思って部屋に上げてお茶を出した。 「話ってなに」 「明日は休み?」 「うん」 「俺もなんだ。だから、明日敦と楽しく過ごせるようにしないとって思って」 さっき、酷い顔になっていたから。 俺の顔に手を当てて苦笑いをする赤ちんにまたやりきれない気持ちになる。赤ちんがあんなことしなければ俺は酷い顔になんてならないし、素直に甘えることもできたのに。いつも敦は素直だねって言われる俺でも、今は素直になれる自信はない。あんな、キセキ以外の奴に抱きしめられてそいつを撫でている赤ちんを見せられてそんなこと。 「……あれ、なんなの」 「あれ?」 「さっき抱き着かれてたじゃん!赤ちんなら振り払う事簡単でしょ?」 「そうだね」 「なのに人前で抱き着かれて、赤ちんも撫でてやってさぁ……ほんとなんなの?」 「うん、」 「浮気じゃん」 「それは違うよ」 どろどろした気持ちをゆっくりと吐き捨てるように、出来るだけ落ち着いて話した。でも赤ちんは俺よりさらに優しくて静かで流れる水みたいに落ち着いて綺麗に話しかけた。やめてよ、そんな優しくされたら俺の怒りがおさまっちゃうじゃんか。 「なにが違うの。俺にとっては浮気だ」 「……。俺は、そんなつもりじゃなかったんだよ」 「……」 「彼は俺の店の従業員だよ、古株なんだ」 俺をベッドに座らせてその隣に赤ちんも座った。 バーで一緒に居た男は美容室の古株で、客からの信頼も厚い男らしい。赤ちんも信頼していて(ちょっとそれも腹が立ったけど黙って聞いておいた)、そいつなら他の従業員もまとめられると判断した。赤ちんには、二号店はまだ一号店のような連携の良さや従業員たちの信頼が出来ていないという悩みの種があった。だからあの男に移ってもらい、自分の代わりに店を回して欲しいと話を持ち掛けたんだけど、いきなりの話だったからかそいつがパニックを起こしてしまったため酒でも飲んで話をしようとしてあそこにいたらしい。 「へー……」 「自分は俺の代わりは出来ない、ダメなんだと立て続けに言うから、俺が鼓舞してた。そしたらいきなり抱き着かれて……まぁ、ああなってしまったわけだ」 「ふーん」 「自分の店の従業員だ。はね退ける事は出来るがそれだと解決にもなにもならない。俺はあの場合落ち着く様にしなければならないと思ったからそうした。俺も向こうにも下心もなにもなかったが、敦が浮気だと思ったのなら謝る」 下心があるかないかは置いておいて、パニックになるのは分かる。 赤ちんに自分の代わりをしろだなんて言われたら、大多数の人間はそんな能力自分にはないというに決まっている。仕事の量、仕事に対する思い、全てを全力で他の人を圧倒するほどにやりきっているんだから。常人では重すぎる重荷を背負うことが普通の人だから。 「……もう、あんなことさせないで」 「出来る限りさせない」 「そうゆうんじゃなくて!……赤ちんは頭いいから分かるでしょ、俺の事なんでも。嘘でもいいから絶対しないっていってよ、」 「二度としないと言うのは簡単だよ。でも敦の前で嘘はあまりつきたくない」 敦は俺の特別だから。 本当に欲しい言葉はくれないけど、俺が言われて嬉しい言葉は知っているし与えてくれる。ぶわわ、と顔が熱くなる。これで俺がさらに癇癪を起こして浮気だと騒ぎ立てることは簡単だ。だけどきっと赤ちんはいまと同じように静かに俺を諭すのだろう。 「……」 「最近、敦と会ってないから味気ない毎日だった」 「………」 「寝るときも一人なのは寂しかった」 「……うん、」 「敦は?寂しくなかった?」 「寂しかったよ。寂しくて寂しくて泣きそうだった」 同じ気持ちで嬉しいよ、なんて。きっと赤ちんよりも俺の方が何倍も何十倍も嬉しいんだよ。赤ちんは頭いいから俺のことほとんど分かってるけど、俺はばかだから赤ちんのことはほとんど分からない。同じよう気持ちになるだけでもすごい嬉しいの、それだけでもう赤ちんに怒ってた気持ちなんて忘れてしまうくらいに。 「赤ちんは、酷い」 「こんなに優しい恋人、そういないぞ」 「他の人に抱き着かれる恋人は優しくない」 「ここに住むキセキも好きだよ。でも店の従業員も俺の立派なチームメイトだ。蔑ろにできない。求められれば与えたいと思ってしまうんだ」 「……やっぱり赤ちんは酷い」 「十代ならもっとお前を盲目的に愛せたんだろうな。……お互い、大切なものが増えた」 「? 俺はいつでも赤ちんだけだよ」 そう言うと赤ちんは少し傷付いたような、そんな顔をして笑った。 「……敦、俺よりお前の方が酷いよ」 「それってどういう………」 意味? って聞こうとしたけど、唇が塞がれて紡げなかった。久しぶりの赤ちんの唇は柔らかくて少し温かくて、俺からじゃなくてあっちからしてくれてるっていうのも相まってぞくぞくした。 怒られないか慎重に見定めつつ、唇を離してそのままベッドに押し倒した。よし、怒られなかったから大丈夫! 「考えなくていい。明日は休みだって言ったろう?」 「いっぱいしてもいい?」 「……明後日に回復する程度には」 「俺に加減なんて求めないでー」 俺の服のボタンを外しにかかってる赤ちん。服脱いでもらいたいけどいいや、好きなようにさせよう。脱いで貰うのが面倒だからそのまま捲り上げるだけにしてその触りたくて堪らなかった肌に手を滑らせる。綺麗に割れた腹筋や引き締まった腰。首筋から鎖骨にかけてを指で辿ると少し身動ぎする。あぁ、ここ弱いんだった。鎖骨に歯を当てて甘く噛む。ボタンはすでに全部外れて赤ちんの手は俺の腕を無造作に持っていて、感じたらその持つ力が強くなる。 「あつし、は……今日までなにをして、いたんだ?」 「俺? 俺はねー、ブライダルのケーキ頼まれて作ってた」 赤ちんは喋りながらをご所望のようだ。俺はいいけど後で喋れなくなくのは赤ちんなのに。鎖骨から首筋に移ってキスマークを付けたい衝動をなんとかキスだけで我慢して耳にかぶりつく。 「そうか……、うぁ!」 「ねーねー、キスマーク残しても良い?」 「ちょ…耳元で……っ」 「ねーぇー?」 もちろん耳も感じるのは知ってるから確信犯。その方が了承してくれる率があがるんだもん。だめ?ねー?って耳たぶを食みながら聞いていると、手が俺を押しどけようと胸を押すけど、そんなの従ってやらない。 「……! 分かった、分かったから耳元で喋るなっ」 その答えに満足して起き上がる。赤ちんの目にはうっすら水の膜ができて、俺が離れた瞬間に自分の耳を守るように手で押さえた。ちょうかわいい! ちょう満足!! 「やった。ちゃんと見えないとこにするから大丈夫だよ。いい子っしょ?」 「……そうだな」 腑に落ちないような顔をしていたけど、まぁそれは見なかったことにしよう。ちゅっちゅってどこにつけようかキスしながら考える。一番は首筋に付けてみんなに見せびらかしたいんだけどそれはだめだし、仕方がない。心臓の上にしよ。 「んー綺麗についた!」 「いつも思うが、敦はキスマークをつけるのが好きだな」 「赤ちんも俺につける?」 「つける意味が分からない」 「えー、マーキングみたいな感じかな。赤ちんは俺のっていう」 「そんなことは当たり前だろう。敦は俺のもので、俺は敦のものだ」 そんなことは決まっているんだからわざわざ痕なんて残さなくても良いだろう? よくわからないというような表情で俺を見る。なんか、なんだか……ずっと会っていなかったからなの? いつも以上にデレられてる気がするんだけど! あーだめだ、興奮してるっていうのもあるけど、純粋に嬉しくて顔が熱くなる。俺は赤ちんのもんだけど、まさか赤ちんが俺のものだって思ってくれてるとは実はあまり思ってなかったから。 「あーだめだ、もっといっぱいつける」 「は? ちょ、」 腰骨の上、わき腹、太もも、色んなところにつけていく。愛しくて、自分のものなんだってみんなに言ってやりたくて。キスマークをつけるのはいわばもう本能のようなものだと思う。誰にもこの可愛い恋人を渡したくないと思うからこその行動だ。本能よりも理性が勝つ赤ちんには分からないかもしれないけれど。 「んー? 赤ちん、マークつけられて感じちゃった?」 「言う、な!」 下着に隠されているそこは少し膨らんでた。手で摩る様にして触ると反応するように赤ちんの足がもじもじと動く。その間に先ほどよりも尖っている乳首をもっと尖らせるために口に含む。柔らかいそこを舌で刺激したり吸ったりころころ転がしたりすると、どんどんと芯が出来てぴんと固く尖る。このまま赤ちんを唾液塗れにしたいとか考えてたら、髪の毛をくいと引っ張られた。 「赤ちん痛いってば」 「も……敦、」 「限界?」 下着の中に手を入れる。茂みをかき分けて主張を始めているそこの形を知る様にして包み込む。先っぽが湿っているというより濡れている。それに満足感を得てそのまま下着をずらしてそこを外気に触れさせた。 「……っ」 「一回イく?」 「あ、ぁ……ぅんんっ……」 ベッド横の棚からローションをとって上を向いているそこにかける。今日は温めてないから常温のままで少し冷たかったらしく、びくつく身体が愛おしい。そのローションを自分の手と赤ちんのものになじむようにして塗りたくって、後ろのひくついているところにも指でゆっくりと慣らしていく。 「あーかちん、声、出してよ」 「……ふ、ぁ」 ふるふると首を振る。絶対に聞かせないということの表れか、手の甲で自分の口を隠してしまった。ああもう、我慢したら次の日には声が出なくなっちゃうってことがあるのにここだけは赤ちんも学習しない。でも無理やり手を退けると絶対に機嫌を損ねる。うーん、どうしようかな。さっきバーで嫌なものを見せられた代わりにってわけじゃないけどちょっと乱れた赤ちんを見たい。多分今日ならちょっとおいたが過ぎても許してくれる(はず)(確実ではないのが恐いけど)。 ゆるゆると扱いていた手を速めて、赤ちんの中に埋めていた指を二本増やした。あちらの片手は口に、もう片方は枕の端を握っている。苦しそうな、快感に必死に耐えるような顔でいるからこっちは煽られる一方だ。だけどさすがにここからすぐに本能に従順になるわけにはいかない。きっと赤ちんが血まみれになる。 「びくびくしてきた」 「…、……ぁ…く」 「分かる? 赤ちん」 「…ひぁ……っ!」 「イく?」 こくこく、と頷く赤ちんの素直さに無意識のうちに笑顔になってそのままイけるようにもっと手を速めた。久しぶりに乱れる赤ちんを見ていると自分がどれほど飢えていたかを実感する。達する寸前にまで追い込まれた赤ちんは自分でコントロールできない快感の波に必死に耐えようとしている。その顔が俺の理性を削ぎ落そうとする。口を塞いでいるけれど、息を吸うときに漏れる喘ぎ声が余計に色っぽいし、汗が珠になって伝うさまも。もう何年もこういう行為をしているけど、いつも新鮮でいつも胸が弾む。 「あつ、し……っあ、ゃ、ぁ、……っ!」 きれいなからだがゆるりと弓なりになってびゅるりと白い液が飛んだ。結構量が多い。後ろも俺の指に食いつくみたいに締め付けてああもう可愛いったらない。声を殺してるくせに最後に俺の名前呼ぶのもだめ、これ結構クる。下半身が熱いとかきついとか通り越して痛くなってきた。 「赤ちん、もっかい頑張って」 「は……? ぁ、ちょ、なに…して……っ」 俺はそのまま手を休めずに刺激を与え続ける。変わったことと言えば後ろに入れている指の数を増やしたくらいで、快感をとめどなく与え続ける。 胸まで飛んだ赤ちんの精液を舐めるとすごく濃くて、浮気してないなって分かって安堵した(するわけないって心の底で信じてるけど、こうやって分かったら安心する)。 「声聞かせてくれるまで止めないからね」 「そん……っイったばっかで…きつ…!」 「しーらない」 やめろと言わんばかりに赤ちんの手が俺を止めようとするけど、そんな力の入らない手では止めることなんて出来やしない。ぐずぐずになっている赤ちんの首筋から耳にかけてを念入りに舐めて、また耳を苛める。 「も、やめ……は、ぁ、出る……また、イく……イってしま…っ、…から…!」 「もう口押さえない?」 「おさ…え、なあ…や、あ…ぁあ、あっ!」 あ、やべ。言質とる前にイかせちゃった。でもいつもより声が多く聞けた。 俺の腕を握る力もなくただ置いてあるだけの赤ちんの手をとってキスをする。これ絶対怒られるなって思いつつも今からやめるなんてこと出来るわけもなく、挿入の準備を整えた。 「赤ちん、ごめんね」 「ふ…、は……、別に、いい。でもこれで……お前を不安にさせた分、チャラだから、な」 中々整わない息の中、赤ちんはそういって微笑む。本当にこの人は俺に甘い。自分でも自他ともに厳しいこの人に甘やかされているって分かる。少しの優越感。 「ちょっと休もっか」 「いい。敦も、きついだろ」 さすがにこのまま挿入するほど俺は鬼じゃない。明らかに赤ちんは回復してないし、しんどそうだし(自分が先に二回もイかせておいて言うのもなんだけど)。だから我慢して待っていた……のに。赤ちんは俺をベッドに倒して馬乗りになってきた。 「え、ちょ……赤ちん?」 「俺が、休憩は必要ないと言ったんだ……続ける」 ふう、と息を吐いてゆっくりと自分で俺のものを埋め込んでいく。え…っろ! なに、なに!?なんでいきなりそんな事してくれるのかわかんないけどとにかく目の前で赤ちんが自分で俺のもんを手で支えて挿れてるのがえろいって事実だけは受け止めれた。膝立ちで足を大きく開いて、後ろに手をついた形になっているから俺の方に腰を少し突き出している。ちょっと萎えて完全にたってないのかわいいー。ぬるぬるとゆっくり食われていく様子をしっかりと視認できる。すごい、赤ちんが俺の食ってる。 「今、一番太いとこ……っ」 「わかる……っん……っ、っ」 「声、殺さない、の」 歯を食いしばってまで声を出さないのだから本当にたちが悪い。これ以上言ってももう無理だと判断してたので自分の指を一本、赤ちんの口に突っ込んだ。 「んぅう、あつひ、やめろ……っ」 「口、閉じたら噛んじゃうね」 ふるふると顔を背けたり舌で指を追い返そうとしたけれど、俺はどかせるわけもなく。俺の指に構ってくれるのも嬉しいんだけど、中途半端なところまで挿れてるあそこが焦れったくて仕方がない。もう一気に貫きたい衝動に駆られるけど、そんなのしたら赤ちんが壊れちゃう。指で遊んでいる赤ちんを横目に腰をゆっくり揺らす。きゅって締め付けられてちょー気持ち良い。 「あ、やら……! あつひ、動くなっ」 「だって赤ちん動いてくんないんだもん」 そう言えばむっとしつつもまた下半身を落としていく。口は俺の指一本分開いていて、赤ちんが俯く度に飲み込めなかった唾液がぽたぽたと落ちていく。辛くなったら歯を食いしばろうとするけれど、俺の指が邪魔で出来ないらしく呻くみたいに喘いでで余計にえろかった。 「う、ん……ぁ、あ、〜〜〜〜っ」 「ぜ、全部入った、ね」 赤ちんのなかが俺のをぴったりと食い付いて離さない。熱くて気持ちが良い。動くと中も蠢いて俺を刺激する。指を退けて軽く啄むようにちゅっ、とキスをすると、もっとと言わんばかりに赤ちんから唇を当ててきた。舌を絡めとって吸ったり舐めたりすると中が余計に熱くなる。 「んむ、ん、ん……ふぁ、」 「赤ちん、ちょー…ん、がっついて……、るね」 「まさか、こうしたかったの、が、…ん、ぅ、自分だけ、だと?」 「赤ちんもしたいと思ってくれてたんだ」 「っ当たり前だ……ぁ、あ、ばか」 一つになって十分赤ちんを感じられたし、そろそろ中で果てたい。まだ降り注ぐキスに応えながらも手を尻に持っていってその柔らかな肉の感触を楽しみながら動きやすいようにからだを持っていく。 「きじょーいも、いいけどやっぱ正常位がいいなぁ」 「う、わっ」 赤ちんの腕が俺の首に巻き付いた頃合いを見計らって、繋がったまま位置をかえる。そのときに良いところを抉ってしまったらしく赤ちんがすんごいいい顔をしてて俺のが少しまた大きくなっちゃった。まぁこれは俺のせいじゃないからね。 「ちゃんとしがみついててね」 なに、と答える間もなく俺は赤ちんを突き上げた。ぬるるるる、とぎりきりまで抜き出して抜ける瞬間に一気に根本まで挿れる。それを何度も何度も繰り返す。赤ちんの手が口を塞ぐ隙すら作らしてやらない。 「あああっ、や、ぁ、あっ!」 「気持ちい…っ」 「ぅん、あ、あつ、敦……ひ、ぁあ」 逃げるかのようにずり上がる赤ちんの腰をしっかりと掴んで離さない。 感じるところなんてもう目隠しして赤ちんの表情を見なくても分かるくらい、身体が覚えている。それほど貪ったけれど、飽きなんてまるで来ない。赤ちんが俺により一層深く抱き着いた。背中に回した手は汗かせーえきかで濡れててずるりと何度か滑っていたけど、その度に離れないように抱き着きなおしてくれた。それだけで、口角が上がっちゃう。 「あー……やば、気持ちくて、っ、やばい」 「ん、ん…っあつ、し…っあつし、ぅあ、ああ……」 「イきそ…っ赤ちん、赤ちん……すき、すき…だいすき」 こくこく頷いて俺の名前を呼ぶ。愛しさがこみ上げて感動しちゃって、涙が流れた。なんて幸せなんだろう、って。 俺は限界がきて最奥を突き上げながら果てて、赤ちんは少し触るだけで簡単に弾けて今日三度目の限界を味わってた。なんか全部を出し切ったらすっごい倦怠感みたいなのに包まれちゃって、なんにもする気が起きない。ずるりって赤ちんの中から出て抱きしめるとそれでようやくゆっくりできる。腕の中に赤ちんがいるから、はぁーって息を吐くのも幸せになる。 赤ちんももう動けないのか、いつもなら風呂に入りたがるのにそのままゆっくり目を閉じた。 <続→> |