小ネタ | ナノ


小話02


【しますぐ+奥村兄弟/台詞のみ】


「あーーーもうどうしよう!」
「今度は何やらかしたんだよ。洗濯物忘れてたのか?食器洗いか?また片づけしなくて怒られたのか?だから同棲とかやめとけって言ったんだよ。兄弟の俺らでさえ苛々するときあるのにさぁ……」
「しゃーないやん!一緒におりたいねんから!」
「はいはい。で?本当はなにやらかしたんだ?」
「…坊が昨日作ってくれた麻婆豆腐めっちゃ美味しかってん。美味すぎてご飯もいつもの三倍も食ってもたくらい」
「勝呂も料理うまくなったもんなぁ」
「ほんで大量に作っとったから残りは朝食べようかってなっててん。冷蔵庫の中空っぽで味噌汁も作れん状態やったし」
「ほーほー」
「そんだけ食べたのに、夜中にええ匂いのした麻婆豆腐二人分もあったからつい全部食べてもたん」
「あーあ」
「朝に謝ってんけど、なんとも言えん顔でそのまま白米だけを二人で食べて出勤した次第ですわ……これ絶対怒っとるわ、絶対」
「そうかぁ?」
「やってほとんど口きいてへんねんで!!あれは怒ってる感じやった!雰囲気的に」
「聞いてやろうか?(携帯を出しつつ)」
「やめて!こんな相談奥村君にしとるってばれると余計にややこしくなりそうやから!!」
「つーかそれ怒ってねーと思うけど」
「奥村君はあの顔見てへんからやうあああああん!!!」
「……(そーかなー)」
「嫌われてもたどうしようーーー!!!」



*   *   *



「そんなに難しそうな顔をしてどうしたんです?僕で良ければ話し相手くらいにはなりますよ」
「や………大丈夫ですわ」
「顔は大丈夫って言ってませんよ。なにがあったのか分かりませんが志摩くん絡みだと推理したんですが如何でしょう」
「…まぁ、正解です」
「はは、でしょうね」
「実は昨日、麻婆豆腐作ったんですわ」
「ああ、兄が最近勝呂くんに料理を少しずつ教えていると言っていました」
「そうなんです。習ったから作ってみようと思って作ったら大成功して」
「良かったじゃないですか」
「志摩も美味しい美味しい言うて食べてくれたんです」
「幸せそうで何よりです」
「いっぱい作ったし冷蔵庫空っぽやから残りは明日の朝に食うって話になってたんですけど、俺が寝とる間に俺の分も合わせて二人分の麻婆豆腐を食べやがって」
「おやおや」
「朝食べるもんほんまになんもなくて結局二人して白米だけ食べて出勤してきたんですわ」
「それはちょっと切ないお話ですね。でもそれだけ勝呂君の料理が美味しかったんじゃないですか?」
「……ここからが自己嫌悪の時間ですわ」
「自己嫌悪?」
「最初は朝にこれしかオカズないて言うたのになんで食べんねん!って怒りがめっちゃきて、謝る志摩にどう返事しよか考えてたんです。でも考えていくうちに美味いから食べてくれたんやんなって思い出して……さらに考えていくにつれて食べるもんぎょーさん買って帰らんかった俺が悪いやんって結論になりまして。その結論に至った時には時すでに遅しで出勤する前で声をどうやってかけようかと思ってたらほとんど無言状態で出社してもて…」
「あぁ…
「あかん……いくら志摩がアホでもさすがにこれは愛想尽かされる、まずい」
「大丈夫ですよ、帰りに志摩くんの好きなものを買って料理頑張りましょう、ね?」
「そう…ですよね」
「安心してください、僕と勝呂君が居ればタイムセールの時間までには十分帰れるはずですから(銃を取り出しながら)」
「ほんまです?ほんならいっちょキバってええもん作りにはよ帰りますわ(銃を構えつつ)」



っていうリア充の悩み


Back

×