小ネタ | ナノ


My desire and promise 02


21 . どうか、どうか、抱きしめて下さい。 (しますぐ)
「坊…」
「大丈夫や子猫丸、志摩はこんなとこでどうこうなるような男やない」
そう言いながらも震えそうになる手をぎゅっと握りしめた。
ただただ報告を待つだけのこの時間が悔しい。
何もできない歯痒さが苛立ちに変わる。
はやく起きていつものように俺に触れろ、鬱陶しいくらい元気に抱き着いてくるやろ。
(お願いやから、)


22 . 世界は残酷過ぎる、と嘆く。 (京都組)
「これできんかったら明日は来んと思え」
ストップウォッチは無慈悲に時を削っていき、子猫さんは頑張ってください!と
拳を握って応援してくれとる。あと鬼が一匹…嘘、俺の好きな人…。
目の前には新しい参考書。
「坊、休憩し「あんっだけ教えて時間内に終わらんかったら覚悟せぇよ」
泣いてええですか。
(八百造に顔向けできんやろ!)


23 . 私の背にも翼があったなら君の傍に飛んで行くよ。(志摩兄弟)
「お前隠し持ってるんちゃうやろな?ちゃんと出せ」
『ほんまになんもないわ!柔兄と金兄のあほ!』
ぶつんと切られてしまった電話に寂しさを覚えつつパソコンの画面をみた。
ああ、自分がここにいたらもっとええアングルで運動会の写真とれたのに!
「なんで俺に翼がないんや」「柔兄は人間やからやで?」
(三人の勇姿がナマで見れんなんて!)


24 . 言葉は軽く、決意は重く、思いは弱く、願いは強く。 (しますぐ)
『お前ほんまに分かってんねやろな』
「分かってますぅ、ほなね」
携帯を切ってため息。そんなん分かってる。
俺の命は坊に捧げるためにある。そんくらい知っとるわ。
やけどそうはなりたない。坊が泣くから。
「あーあ…めんどくさめんどくさ」
色々なことを考える自分が一番面倒くさい奴やわ、と自嘲する。
(あん人が幸せになってくれたらなんだってええわ)


25 . 思いは海より深く、祈りは空より高く。(達虎夫婦)
「そんなに心配せんでも大丈夫よ?」
「そんなん言うても…あ、段差あるで?手貸そか?
部屋はもう暖まってあるさかい大丈夫や。後で飲みもん持ってくるな、なにがええ?
経ばっか聞かせたらあかんかな?音楽とか…」
「…」
「食べもんも色々調べるから、虎子はゆっくりしててな」
「達磨さん、落ち着いて」
(ただただ元気な子が生まれますように)


26 . 遥かの記憶と懐かしの再会は海を渡る風に誘われ。 (しますぐ)
「そういや学校行事で海来ましたねぇ」
「……せやな」
「あん時はまだ中学生でしたねぇ、俺なにして…」
志摩の言葉が急に止まった。多分俺と同じことを考えてるんやと思う。
この蒸し暑い中、中学生やった俺らは海へきた。そして二人きりになった。
「……暑いな」
「…暑いですね」
海が嫌いになりそうだ。
(付き合っていた頃、初めてのキスを海でした)


27 . 蠢く世界、争いの果て、きっと誰かが泣いている。 (燐勝)
「行くんか」
「おー。下っぱは辛ぇわ」
ははは、と笑ってブーツの紐を結ぶ。俺はここから動けん。
やけどこいつはそれが使命やから。
「生きて帰ってこいや」
「…ああ、お前の元に」
争いによって壊されるなにかを救ったあと、お前のせいで泣いてる俺を助けにこい。
それくらい我儘言うても罰は当たらんやろ。
(「…泣きはせんな」「え、泣けよ!」)


28 . あの日流した涙の理由を、今になって理解した。 (獅←シュラ←雪)
ああ、ずきずきと胸が痛む。
自覚してからそれが酷くなっているのはわかってはいるがどうしようもないこともわかっている。
「ちゃんと聞いてんのかよ、私の昔話ぃ!」
「聞いてますよ、神父さんがどうしたって?」
「だからぁ、そこで獅郎がぁ」
ずきずき、あの時流れた涙のわけに気付かなければ良かった。
(気付かない方が幸せだったのに)


29 . 汚れた水で命を吹き返した花は、何故こうも美しいのだろう。 (しますぐ)
「坊、なに見てはりますの?」
「いや…いつみても立派やと思て」
坊の見上げた寺は数年前に改築改装して堂々と建っている。
これまでの苦労はそらえらいもんやったけど、こん方はやり遂げた。
「…そうやなぁ。まるで坊みたいに綺麗に凛として建ってるわ」
「……」
「ぶっは、顔真っ赤や」
「うっさい!」
(我らが座主様のように堂々と、美しくこれからも)


30 . どうか犯した罪を咎めて。どうか貴方の声で蔑んで (しますぐ・未来?)
「なんでなんも言うてくれはらへんのですか…明陀を捨てたんに」
「けど戻ってきた。それがお前の答えやろ?僧正家が全部寺に縛られなあかんと思わん…俺にはなんも言われんわ」
坊は笑った。俺はその言葉に泣いた。
蔑んで軽蔑してくれた方がよっぽど良いのに。
それをしないのが坊らしくてまた泣いた。
(その笑顔に救われてしまった自分がいる)


31 . 人の行く末を決めるのは、全能なる神ではない。
(金出)
「やからぁ、次いつ会えんねん」
「そ、そんなの知らないわよ」
目を合わさず、もうなんも入ってないコップを持って挙動不審しとる。
俺以外の前やとどきつい性格のくせに、なんで俺の前やったら口数減んねん意味わからん。
「ほんなら明日も会お」
「…うん」
それでも、嫌われてへんみたいやからええか。
(俺のこと決めんのは俺や!)


32 . きれいだね、強くて、そして愛おしい。(アマ勝)
「一度戦ってみましょうか」
「あほ言いなや」
あいつよりは劣るけどこの男もきっと楽しい。
「いいじゃないですか少しくらい」
「……」
こちらを見ないからがたがた椅子を揺さぶって見る。
僕を見ないなんて。見て、はやく。
「ね?」
「…あんな、構て欲しいなら物騒なこと言わんで最初からそう言え」
「?」
(別にあなたに構ってほしいなんて)


33 . 救われたいのではない。救いたいのだ 。(燐勝)
「なんでお前はいつもいつも…っ」
「だーいじょうぶだって、こんな傷すぐに…」
「そういう問題ちゃうわぼけ!」
悪態をついてその場から離れる。
これ以上一緒にいると守ってくれたのにさらに酷い事を言ってしまいそうだ。
いつもいつも俺の盾になって酷い傷を負う。
悪いのは力のない自分なのに悔しい…!
(それだけの力が俺にはまだない)


34 . 寂しさに怯える夜が無いように、君の傍にずっといるよ。 (柔蝮)
「おう蝮、ちょお付き合えや」
「珍しいやないか」
「たまにはええやろ、枡で飲もうや」
日本酒と枡を持って蝮の隣に座った。今日は罵声を浴びせられない。
酒を注ぐと嬉しそうにそれに口をつけた。
「なんの風の吹き回しや」
「別に、ただ気ぃ向いただけや」
そんな目でおられたら心配するに決まっとるやろ。
(お前の事はずっと見とるから)


35 . 朝焼けが眩しくて目を閉じる。そして、そこはたった一人の寂しい孤独。 (獅シュラ)
幼い頃から殺伐とした世界で生きてきた。
独りは慣れてたし、それが私の普通だったんだ。
光なんて見ずに、いつも暗い暗い闇の中。
それを光の塊みたいな獅郎、あんたが私を救っちまったんだ、
最後まで責任持てよな。光のあたたかさを知ってしまったら、もう闇で生きれない。
だからなぁ、責任とれってば。
(なにもしなくていい、私の傍にいるだけでいいからさぁ)


36 . その時、瞳には澄み切った空と海と、貴方の面影しか映っていなかった。 (しますぐ)
全てを捨ててしまえたら、最後はなにが残るか考えてみた。
まぁ捨てるもんすらあんまないけど。
僧正家なんて、悪魔なんて、学校なんて、勉強なんて要らん。
俺を縛り付けるもんは全部要らん。なんや要らんもんばっかりや。
逆に必要なものを考えてみた。
俺には何が要んねやろ、考えるとすぐに答えは出た。
(あんたがおったら俺はどうにでもなれる気ぃしますわ)


37 . 忘れないよ、君の事。その温もり、その優しさ、その声、君の全てを 。 (金出)
時々出雲がヒス起こしてめっちゃでかい喧嘩になったりする。
その度この女今度こそええ加減にせぇよ…!とか思ってまう。
やけど出雲が俺に与えてくれたものとか、俺のために我慢してくれてることとか思い出すと、この金造様が我慢したろって思う。
惚れた女のヒスくらい受け止められんでなにが彼氏じゃ!
(「俺は悪ぅないけど謝る」「なによそれ!」「仲直りな」「…ばかぁ」)


38 . 哀しくも残酷的な戯曲 。 (燐勝・19.悪魔堕ち続き)
「明陀、かなりごちゃごちゃしてんぜ」
「……」
「こればっかしは部外者の俺はなんも出来ねぇぞ」
「…悪魔に成り下がった俺にも出来ることなんてあらへん」
その心は未だ人間で、その意志は未だ崇高で、その顔つきは未だ座主なのに、彼は自分から戻ることはない。
「悪魔の座主とかカッコイー」
「あほか」
(悪魔になってもまだ明陀を思う気持ちがあるのか)


39 . 幸せすぎると嘆くなら、きっとあなたは報われる。 (しえ出)
「あんたって本当に頭の中お花畑よね」
「…?あ、ありがとう!」
「褒めてないわよ!」「私お花畑好きだよ?」
「ああもう良い。あんたは幸せ者だわ…」
「うん、神木さんといっぱい話せて私幸せだよ」
「…」
「えへへ、神木さん大好き」
「う、うるさいわね!」
「今度綺麗なお花畑にい、一緒に行こうね!」
(幸せ!)


40 . 祈って縋って、生きていたのに。お願い、見捨てないで。 (獅シュラ)
「は?今なんつったよ…」
耳掃除が行き足りてなかったにゃあ、なんて笑っている私にもう一度、その報告が無慈悲無感情に伝えられる。
聞き違いではなかったことが悔しかった。
私にとって常に完璧だったアンタは死ぬことすらしないんじゃないかなんて思ってたのかな、私。
でも、そうじゃなくても早ぇよ。
(私にはまだアンタが必要だったんだよ)



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