小ネタ | ナノ


My desire and promise 01


01 . 開幕のベルは常に人を驚かせる。(しま←すぐ)
「わっ!」
「ぅお!?」
「はは、成功や〜」
「し、志摩なにすんねん!」
跳ね上がった心臓を落ち着かせようと胸に手を当てる。
脈打つ心臓は一向に収まらず、叩かれた背中は熱い。
時間が経ってもそこはじわりと温かみを帯びているような、そんな感覚。
なんだ、志摩がいつもと違うように見えている。
(さっきまでただの幼馴染だったのに。)


02 . 淡き願いは泡沫となり消えてゆく。(柔→←勝)
「坊…っあの」
「柔造、じゅうぞぉ」
自分に迫る御方の肩を掴んで距離をとった。あかんあかんあかん、考えがまとまらん。
「やっぱりあかんか?」と今にも泣きそうな顔をした坊に違うんですと答える。答えてしまった。
違うくない。あかんのです、俺がそんな、坊を手に入れられる日は来たらあかんのです。
(一生仕えるだけにせなあかんて思てたのに)


03 . 真実と偽りを隔てる壁は脆く儚い。(金・廉→勝)
「坊の事好きなん?」
「…あ?別にそんな感情持っとらんわ」
金兄の目は柔兄と手合せしとる坊に真っ直ぐやった。
「じゃあ俺が坊に告白してもええよな」
そういうと金兄は目を見開いて、あかんと呟いた。
なんで。なんでも。答えにならない答えを返す金兄。
その目は俺を射殺すような目にかわっとった。
(儚いなんてかわいいもんちゃうわ)


04 . 願ってしまうから叶わなくなるのだ。(柔造+勝呂+廉造+子猫)
あん人は座主になるんやし大丈夫や、と何度も自分を落ち着けてきた。
座主になるために高校を卒業したら戻ってくる。
頭の中にまさかという思いは小さくあったけれど見ないふりをした。
卒業が見え始めてからまさかが現実になるかもしれんとなって頼むからやめてくれと思った。
やけど願いは虚しく。
(あの御人と弟と猫は本部に取られた)


05 . 言葉の温もりは愛しさにも勝る。(金勝♀)
「今度だけは絶対に里帰りしますから」
『ん、』
「お嬢、寂しそうな声せんでくださいぃ」
電話越しに拗ねている恋人が目に浮かぶ。前もドタったからなぁ…。
『やって…』
「俺も寂しいんですえ?お嬢にずっと会われへんの」
『…すまん』
「すきって言ってくれたら許します」
『えっ!』
気持ちは言葉で伝えて(そしたら俺もその倍以上の愛を伝えますから)


06 . いつか見た現実と幻想が交差する。(しますぐ)
鍛え上げられた体はかたくて、女の子みたいに柔らかいところなんてほとんどなくて。
それでも触りたいと思ってしまってそこに唇を当てた。
坊はめっちゃ気持ちよさそうに目を細めて、声が出ん様に口を押えて気持ち良さに耐えながらイく。
あれ、イく顔俺ちゃんと見たっけ?ま、ええか。
明日見せて貰お。
(それができる立場ですから!)


07 . 人の願いは星となって消えるだろう。(しますぐ(悪魔堕ち)
最期の言葉は「志摩、すまん」やった。
それから坊は黒に塗りつぶされて人間ではありえない羽根と尻尾を生やした。
そんなん、嘘や。坊がそんなことになるなんてありえへん!
自分の周りに魑魅魍魎が集まってくる。
それを一気に取り除き、黒に染まった坊は『お前は来たらあかんよ』
そう言って去った。
(なんで一緒におりたいって願いすら消していかはるの)


08 . 憎しみと憎悪は涙となって地に還る。(しますぐ←金・柔あたり)
結局、坊は廉造を選んだ。頭では分かっとる。
坊が選んだんやから口出したらあかん。
やけど心ではなんであの甘えたな五男坊やねんと叫ぶ。
めんどくさい言うてなんもせんし明陀を大切に思ってへんしお護りする力もないやないか。
なのになんで。
「…坊」 
目から零れ落ちた液体はじわりと見えなくなった。
(俺やったらあかんのですか)


09 . お願いだから、傍にいて。(しますぐ・07の悪魔堕ち続き)
悪魔堕ちだなんてそんなことあり得ない。
昨日目の前で起こったことと、今日自分の前に坊がいないことが理解できない。
なんでなん、なんで…!
多分、あのまま坊が何も言わずに去っとったら俺も悪魔堕ちしとった、できとった。
なのにそれを許さずに行ってしもた。
もう悪魔でもなんでもええから傍におって。
(仲間の顔を見たら悪魔堕ち出来ん様になった俺への罰ですか)


10 . 終わり無い哀しみから何処へ。(勝呂+燐・09の悪魔堕ち続き)
「お前どこ行くんだよ」
「んー」
「なぁ、」
「とりあえず色んなとこ回るわ」
明陀を頼んだで、と最後に奥村に言っておきたかった。最後の最後になんて未練たらしい。
「戻ってこいよ」
「たまにこっそりな」
そういうと奥村は顔を顰めた。
羽根を出す。もう会えない悲しさはしょい込んだ。
さぁ、どこ行こか。
(自由すぎるからだは涙が出るほど軽かった)


11 . 過去の傷が疼き、掻き乱す。(しま→すぐ・未来捏造)
傷と言っちゃあ余りにもおこがましいかも知れん。別れた十年前の記憶が今も鮮明に蘇る。
あんたにはもう黒歴史にでもなって終わっとる話なんやろうな。
俺がこんなにも未練たらたらやなんて知らんやろ。ずっと隣におって、こんなこと。
襖を開けて頭を下げる。
「坊…いや和尚、ご結婚おめでとうございます」
(ああ、過去の傷にさらなる傷が重なる)



12 . きっとまた、それぞれの果てしない道を歩むんだ。(燐勝・死ネタ?)
あと自分が何年くらい生きるんだとか、どうなってくんだとか。
そんなこと分からないし分かる手立てもない。ただ、生きれるだけ生きるんだ。
あいつが、勝呂が遺した言葉を信じて見つけに行くよ。
「転生とか生まれ変わってお前に会えたらその俺は幸せやろうな」
その言葉が俺の生きる道しるべになった。
(道が別れてしまっても、きっとまた交わる)


13 . もっと、もっと伝えたかった。(雪→勝呂)
「それ分かるかもしれん」
「え、本当ですか?」
「兄弟おらんけど志摩んとこ見とるからな」
彼と意見があうと嬉しくなる自分がいたことに驚いた。
もっともっと自分と彼のあう部分を探したい、知りたいと思う。
口を開こうとすればすぐにいつもいる彼らに呼ばれて行ってしまった。
ああ、なんて名残惜しい。
(彼の頭の隅にでも、僕がいればいいのに)


14 . この思いは開けてはいけないパンドラの中。(金出)
ひょんなことから2人きりになったこともあるけれど
任務で偶然知り合った塾の同期のお兄さん…くらいの関係だ。
それ以上の感情なんて持ち合わせていない。
なのに、いきなり彼が自分の前に現れ、自分の名前を呼ぶものだからドキリとする。
…別に私は知り合い以上の感情なんて持ち合わせてないんだから。
(「出雲、飯食いに行くで」と誘ってくる彼の目は優しさに満ち溢れている)


15 . 偽りの平和が塵となって消え去った。(廉・燐→勝呂)
「はは、いややわ奥村君」
「…」
「本気ちゃうよな?」
「…本気だ」
その言葉を吐いた瞬間、目の前にいる優男の顔色が変わった。
そぉかぁ、と一拍おいてから許さんで、と短く低く呟いた。それは勝呂が決めることだろ。
そう言おうとしたけどこいつの中の座主血統を守る血はそんな言葉すら許さないだろう。
(勝呂の血をずっと見ておけるんは僧正の血を持つもんだけや)


16 . 何よりも優しく、何よりも果てなく。(柔勝)
こいつはあかん、と思う。俺に全てを注ぎ込み、あたたかい場所を用意し、守ってくれる。
俺が何か言えばすぐにそれを何のためらいもなく実行する。
それは良くも悪くも自分を支えてくれる存在。
「坊、ぜぇんぶ柔造に任せたらええんです」
そんな、甘い言葉をいつまで言うつもりなのだろうか、ああ溺れる。
(いつまで?―――期限なんて存在しない)


17 . 叶わぬ夢が繰り返し蘇る。(獅達・死ネタ)
「久しぶりだな」
いつものように不敵に笑ってどこからともなくやってくる。
彼はいきなりどこからか湧いて私を驚かせてくれた。
色々な話をしてくれて、そして帰り際に私の眼を見てまたな、と言ってくれるのだ。
そこで私が「また、」と返そうとすれば夢は醒める。
君は「また」も言わせてもくれないのか。
(もう「また」がないことくらい頭では分かっているよ)


18 . きっとこれは、臆した私に下る罰。(しま→すぐ)
「…風邪ひくで」
「んんー…」
「……はぁ」
全然眠たくないけれど眠たい振りをしてみる。そうすれば坊は俺を甘やかせてくれる…前までは。
いつもならベッドに行けと俺を蹴ったり担いだりしてくれてた。
けれど今日は毛布を掛けただけだ。
くそ、前に寝ぼけたふりしてキスをしてから明らかに距離が開いた。
(歯止めなんてきかなかったんだ)


19 . 風よ、どうか私を攫って下さい。(しますぐ・10.悪魔堕ち続き)
「廉造、行くで」
「……あぁ」
ぼーっとした頭のまま金兄についていく。言われるがまま、言われるがまま。全てそうだ。
言われるがまま生きた。生きる目的がないまま生きるのは辛いを通り越して「無」だった。
大変な事態になった明陀にもう俺は何の関心もない。
あの方がおらんここを明陀と呼べなかった。
(それでも生きているのは、会える望みを捨てれないから)


20 . 泣かないで、空は高過ぎるんだ。 (柔勝…のつもり)
「大丈夫です、坊、誰もおらんくなったりしません」
そうやって支えてくれていることは小さい頃から身に染みとる。
やから、俺は支えてくれた人たちに恩返しをせんとあかん。
自分が知識も経験も豊富な立派な祓魔師になっていかなあかん。
やけどたまに、弱音を吐いてその胸の中に顔を埋めてさせて欲しい。
(唯一の甘えさせてくれる場所であって欲しい)


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