03
親としっかり話し合い、別れるのを防ぐことに決めた私達。昨日は、結局勉強せずにいろいろ話してた。だけど、正直不安だし自信もない。だけど、こうする以外にどうすることもできないんだ。
「…で、どうやって説得する?」
「取りあえず、再婚を防ぐしかないかな。 隠れてこそこそ付き合ってても、きっと僕の親には許してもらえない」
「そっか、雨竜のお父さん怖いもんね…」
雨竜のお父さんは、小さい頃から私のお母さんがいないときに、わたしの面倒を見てくれたりしてきたけど、なんだか私は雨竜のお父さんは怖いという印象が強くて今でも抜けない。
でも、私のお母さんはそれと比べてすっごくぬけてるっていうか、自由人っていうか、そんな感じの人だから私もお母さんに振り回された回数は数えきれないほどある。
「というか、なんであの二人がくっつくのかがわからないよね」
「…確かに」
二人ではぁ、と溜め息をつく。
「まあ、婚姻届をもう出したのか聞いてからまた考えよう」
「…そうだね」
(でも、もしこれで出したなんて言われたら、もう成す術ないじゃん)
そう思ったら、心配だった。
「どしたの由佳、元気ないね」
教室に入り、席につくとたつきが声をかけてきてくれた。
でも、たつきや織姫には絶対迷惑かけたくなかった。
「ううん、何でもないよ」
だから、笑ってごまかして嘘をついた。
「本当に? なんかあるんならいつでも相談してきなよ」
「うん、ありがと」
たつきは、いつも私のことを心配してくれて、どんな相談にも乗ってくれる。でも、こればっかりは自分で解決しなきゃ駄目だし、他の人に迷惑かけたくない。だけど、気がついたら考えているのはその事ばっかりだった。
「…じゃあ、生田さん、問2の定理は?」
「え、あ…、すいません、もう一回お願いします」
「ほら、授業は集中して聞きなさい!」
先生に怒られたりもして。たつきが、わたしの方を不安そうな目で見ていたのに、心臓がちくりと痛んだ。こんな中で、止まってくれるわけがない時間に恨めしく思いながら放課後を迎えた。
「由佳、帰るよ」
「…うん」
思い足取りで学校を出る。止まらない手の震えに、気付かない振りをした。
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