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「本っ当に君は馬鹿だね」

「うるっさいな、雨竜だって男のくせに洋裁好きとか、女かって感じ!!」

「なんだって? じゃあ君はどうして女のくせに裁縫ができないんだ!」

「できないからできないの、仕方ないでしょ!」

「できないで済むなら苦労しないじゃないか!」

「もううるさいなぁ!!」


…こんな喧嘩ばかりの私たちですが、実は付き合ってます。

中学の頃から始まった交際の理由は、もともと家が隣なのと私の母親と雨竜の父親が共に空座総合病院で働いていたためある程度親同士の仲が良かったからだった。でも、やっぱり小さい頃から私達の喧嘩は絶えなかった。だけど、そんな関係がいつか変わってしまうんじゃないかなんて思ったことは一度も無かった。





***





授業も終わり、放課後。いつものように雨竜と帰るけど、ね。

「ねえ、宿題わかんない範囲のところあるから後で教えて?」

「しょうがないな、いいけど… 何処で?」

「えー… じゃあ私の家にしよう! 晩ごはんも食べてく?」

「そうさせてもらおうかな。ありがとう」

「…雨竜がお礼言うなんて、珍しー」

「馬鹿だね、誰だって礼を言うことくらいできるに決まってるだろ? ああ、由佳は馬鹿だからできないのか」

「馬鹿って言い過ぎだし!」

やっぱり喧嘩になっちゃうんだけどもういつものことだから慣れちゃったりしてる。だけど、これでも喧嘩が発展して別れそうになったりとかそんなのは無かったから本気の言い合いなんてしたことない。

「じゃあ、またあとで」

「うん、またね」


雨竜と別れて家に入る。お帰り、というお母さんの声にただいま、と返事して靴を脱いだ。いつもあんまり素直にいれないけど実は雨竜の家に行ったり雨竜が家に来てくれたりするのが嬉しかったりするから、ちょっとだけ今も楽しみなんだ。

「由佳、ちょっと話があるんだけどいい?」
「わかった、取りあえず着替えてくるから待ってて」
部屋に行き、急いで着替えてリビングに戻った。そうだ、なんかお母さん朝から落ち着かないみたいだったな。

「どうしたの?」

「実は… お母さん、雨竜君とこのお父さんと再婚することになっちゃった」

「…は?」






なんだ、それ。


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