いがみ合い

 
 
 
 
 
「スレイに近づかないでくれる?名無し」

「俺の台詞なんだけどな、暗殺者さん?」


ジロリとロゼに睨まれても不敵に笑う俺。毎度の事ながら空気が悪くなる。しかし皆が何も言わないのは俺とロゼを止めても無駄だと思っているからだろう。
ロゼは表向きはわりと評判があるセキレイの羽に所属している。しかし裏では風の骨という暗殺をする所の頭領。スレイを狙った事だってあったらしい。


「いつスレイが後ろから殺されるかわかんねーからな。俺が見といてやらないと」

「名無しの方がスレイを殺しそうだけど」


で、何で俺とロゼがこんなに敵対しているのかというと。俺がヘルダルフの手下だからだ。最もロゼや他の皆は気づいていない。ただロゼはどうやら俺を警戒しているのだ。ま、ロゼの言うことやその警戒は当然だから何も思わないけどな。俺がスレイの仲間として行動しているのはスレイをいつでも殺せるからだ。けどロゼが邪魔して中々殺せないんだけど。


「人聞きの悪い奴だなー。俺がスレイを殺す訳無いだろ?な、スレイ」

「離れてスレイ」

「ロゼ…何で」

「少しは怪しんだ方がいいよ。今だって武器を持って何をするかわからないし」


無理矢理俺からスレイを引き離すロゼに俺は武器を取り出す。ロゼも二刀の短剣を持って。慌てて止めようとしてミクリオとライラがスレイの中から出てきたが一歩遅い。俺はロゼに向かって武器を振り落とす。ロゼも俺に向かって短剣を投げた。但し、お互いの武器に当たったのは憑魔だった。ロゼの後ろから襲おうとした憑魔を俺が斬り、ロゼはどうやら俺の後ろにいた憑魔に向かって投げたみたいだ。


「まあ気づいていたけどこりゃあ驚いた。ロゼが俺じゃなくて憑魔を狙うなんてな」

「名無しを守った訳じゃない」

「あ、因みに俺がロゼの後ろにいた憑魔を倒した理由は何だと思う?答えは簡単、俺を疑う奴がいた方が面白いからな。ロゼが死んだら面白くないし」

「心配しなくてもあたしは死なないから」


こうやって突っかかってくる奴がいないと面白くない。この導師一行は全員俺にとっては甘い。唯一ロゼだけが疑ってくる。こういういがみ合い出来る相手がいないとな。果たしてロゼはスレイを殺ろうとしている俺を止められるのか、止められないのか。いずれにしろいざその時にならないとわからないんだけどな。


「…なんだかんだ言って二人は息ピッタリだと思うぞ」

「ミクリオもか?オレも思ってた」

「仲が良いのか悪いのか…」


…あー、何て懐かしい事思い出してんだろうな俺。カチャリと武器を持った音がして現実に戻らされる。今俺は武器を持って目の前にいる敵を見る。さっきまで仲間だった奴等を。


「…やっぱりヘルダルフの味方だったんだ名無し」

「ああ。最初からわかっていたから疑ってたんじゃないのか?ロゼ」


スレイ達は驚いたままこちらを見ている。ロゼだけが構えていて今にも殺られそうだ。けど俺だって簡単に殺られるつもりもないし、大体ここで死ぬわけにはいかない。


「俺達のいがみ合いも決着をつけようぜ。ーーーカムランに来い。そこで殺るか殺られるかの俺とロゼの一騎討ちだ」


ロゼを殺したらスレイ、お前の命を奪う。邪魔するのなら他の奴等も殺す。いつもより低めの声で言えばスレイ達が息を飲み込むのがわかった。ふっ、と笑いロゼを一度見て俺はその場から去った。向かうはヘルダルフがいるカムラン。…次で最後のいがみ合いだ。楽しもうぜ、ロゼ。


「いいの?ロゼ」

「あたしは殺るよ。相手が殺るつもりならあたしも殺る。それだけ。…それに、いつかこうなるとわかっていたし」

「ロゼ…」

「あたしなら大丈夫。さ、ラストンベルに戻ろ」

(本当に名無しは敵だった。わかっていたはずなのに…胸が痛い。変なの)


ーーー決着は明日。俺とロゼのいがみ合いも、明日で最後。


_____

いろは様リクエスト、テーマが"いがみ合い"でロゼ夢でした。
いがみ合いになっているのかこれは。なっていなかったら申し訳ございません。
お互いにいがみ合いしながらも息ピッタリな二人。なんだかんだ言って仲が良かった。だからこそロゼは本当に夢主が敵だったとわかった時胸が痛んだのだと思います。何処かで夢主は敵じゃないと無意識に思っていたのかもしれませんね。そこに恋愛感情があるかどうかはいろは様の想像にお任せします!
いろは様、5万打記念に参加していただき、ありがとうございました!気に入らなければ遠慮なく仰って下さい!

※お持ち帰りはいろは様のみです。
 
 
 
 
 


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