子供化
はい皆さんこんにちは。いやおはよう?もしくはこんばんは?
と、とにかく私の名前は名無しと言います。何故自己紹介したのかと疑問を抱いた人が大半でしょう。それ程までに私は今パニック状態なんです。
宿屋に泊まり目を開けて体を伸ばした時感じた違和感。まず自分にピッタリだった服がブカブカになっており、手足が短くなっていた事に驚く。そして鏡を見て思わず私は絶句した。そう、鏡に映っている子供化している自分を見て。
「…よし、一旦落ち着こう。昨日私は普通に寝たはず。で、起きたらこれだった」
…これは落ち着くなど無理。皆に何て説明しようかな。起きたら子供になってたーなんて言ったらまあエドナとミクリオ、それからロゼに確実にツッコミ入れられる。挙句にはエドナあたりに傘で叩かれそう。でも嘘は言ってないんだけどね!
「…一応言いに行こう」
ベッドから降りた瞬間だった。今では長いズボンを踏んで滑ってしまい、顔を地面にぶつけてしまった。物凄い音がしたからまあ痛みも凄い。普段だったらこれぐらいで泣かないのに子供になったせいか涙が溢れる。な、泣くな私…!
「名無し!お前は静かに出来ねぇの、か…」
「うぇ…デゼル…?」
デゼルが音の煩さに怒って入ってきた。隣はデゼルだっけ。完全に泣いているし見た目は小さくなってる私を見てデゼルが硬直している。その間も痛みはまだ引かなくて泣き続けているとデゼルが私の隣に来て頭を撫でて来た。恐らく一旦涙を止めようと考えたのだろう。それでもデゼルの手は妙に優しくて涙が止まっていった。
「何故こうなった」
「…わかんない」
涙も止まり私達はベッドに座った。いつもの姿でもデゼルは高いのに今の姿だともっと高く感じて首が痛い。なんて愚痴を言っても仕方ないんだけど。
デゼルにこうなるまでの経路を言ったのだがますます顔が険しくなるだけ。しかしそんな顔をされても私は困る。というか怖い。子供だからかこれだけでも目頭が熱くなっていく。
「チッ」
「…っ…」
「一々泣くんじゃねぇよ名無し」
好きで泣いてるんじゃないし。てか何なのこの人。いつもの時より怖いんだけど。子供の姿なんだからもう少し優しくしてほしい。あれか、子供でも私だから?普段でもイラつくけど子供だとこれくらいで泣くから余計にイラつくとか?…だったら決めた。
「ごめん。こんなんじゃ彼女として歩けないよね…」
「は?」
「デゼルが言いたい事もわかるよ。子供と付き合ってるなんて嫌でしょ?だから、別れ…ふえ…」
必死で言葉を紡ごうとしたら涙が邪魔をする。ちょ、人の別れ話を邪魔するんじゃない。
デゼルが何だこいつって顔で見てる。ほらデゼルにまた嫌われた。もうやだ、子供になってからついて無さすぎる。
「勘違いしてんじゃねぇよ名無し」
「え?わっ…」
背中に腕が回ってきて抱きしめられた。ポンポンとされて何が何だかわからないんだけど。でも暖かくて…やっぱり別れるなんて嫌だなって思う。…にしても勘違いってどういう事だろう。
「俺は名無しが子供だとしても別れるつもりなど無い。ただ、お前を尚更守らねぇとと思っただけだ」
「デゼル…」
「だから別れるなんて言うな。馬鹿が」
自惚れてもいいのかな。デゼルは私と別れたくないんだって勝手に思ってもいいんだろうか。デゼルの指が私の涙を拭っていき、額に唇が触れる。子供だからか唇にしてくれないデゼル。…ちょっと嫌、かも。
「デゼル」
「…断る」
「えー!?額にしてくれたんだからいいじゃん!何、焦らしプレイ!?」
この人そういうタイプだったのか。うーん、だったら…。
鬱陶しそうな顔をしているデゼルに私はベッドの上で立ち上がる。すると座っているデゼルと大体同じ高さになる。それを狙ってた私はデゼルに近づいて自ら唇を重ねた。ほんの少し触れるだけで精一杯だったけど。
「名無し」
「い、今顔見ないで。恥ずかしいから」
自分からしたというのにとてつもなく恥ずかしい。デゼルから目を逸らした瞬間私の体が光出した。え、え!?と戸惑っていると光が強くなってきて目を開けれない。デゼルが私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
光がおさまったのを感じた私はゆっくりと目を開ける。子供の時と違う目線、ピッタリの服、いつもの手足。自分が元に戻れたんだと理解するのに時間はかからなかった。
「戻った!ありがとうデゼル!」
「俺は何もしてねぇよ」
嬉しさのあまりデゼルに抱きついた。勢いがあった為二人してベッドに倒れ込む。戻れたのはデゼルとキスしたから?わ、ロマンチックだな。
「これで堂々とデゼルの彼女として歩けるね!大好きデゼル!」
そう告げればデゼルが私の後頭部に触れてきて。自然に目を閉じれば唇に触れるデゼルの唇。キスから伝わった『好き』に私は胸が熱くなったのだった。
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エリス様リクエスト、テーマが"子供化"でデゼル夢でした。
どちらを子供化にしようか迷ったのですが夢主にしました。もしもデゼルの方で期待していたのなら申し訳ございません。
やっぱり冷たく言い方をしていても優しいデゼルが好きな夢主。デゼルも夢主が子供だろうと何だろうと夢主と別れるつもりはなかった。好きですからね!
エリス様、5万打記念に参加していただき、ありがとうございました!気に入らなければ遠慮なく仰って下さい!
※お持ち帰りはエリス様のみです。