告白

 
 
 
 
 
スレイはどんな時でも優しい。人を疑わずに何度でも助けてくれて、守ってくれて。純粋な心を持つスレイに私はいつしか惹かれていった。皆導師だから惹かれてるんだろうと言うが違う。私はスレイを導師として見てるわけじゃない。スレイ自身が好き。


「…って気づいたのも最近なんだけど…」

「名無しさんはスレイさんに言わないのですか?」

「言わないっていうか…言えない、だよ」


勿論恥ずかしいって気持ちもある。が、それ以上にまず世界を救おうとしているこんな時に私の気持ちを伝えるのはどうかと思う。…変にスレイに気を使われそうで嫌だ。だったら私は伝えずに今の状態を維持したい。今でも充分幸せだから。


「だったら名無し、俺様にしと「却下」答えるの早すぎだろ」

「名無しさん、ザビーダさんが可哀想ですわ」

「やっぱり俺をわかってくれるのはライラだけ…」


私の言葉に傷ついたのか優しく微笑むライラにザビーダは腕を伸ばすがひらりとライラがよけた。いやあの、表情は凄い良いのにその態度の方が私より可哀想な事してると思うんだけど。気のせい?
追う、よけるを繰り返している二人を冷めた目で見ていると今度はエドナとロゼの声が聞こえた。


「相変わらずだなぁ、あの二人」

「馬鹿馬鹿しいわ」

「…でもまあ羨ましいかも」


ライラだってザビーダの事を嫌っている訳じゃない。その事をザビーダだって知っているからこそあんな風にしてるんだと思う。あの二人の仲が、ちょっと羨ましいかな。


「スレイとあの二人みたいにもっとラブラブになりたいって顔してるわよ」

「え、ちょ、ちがっ!」

「じゃあ名無しはザビーダにああされたいから見てたんだ?」


何でそうなった。確かにライラとザビーダを見ていたけども、ザビーダには悪いがライラみたいにああされるのは勘弁。だけどスレイとラブラブになりたいっていうのは…その、確かに思う時は思うけど、顔には出してないはず。エドナとロゼがからかってるだけだ、絶対そう。


「違うからロゼ。私は」

「まあ名無しはザビーダと仲いいもんね。ライラは強敵だとあたしは思うけど頑張れ」

「応援してあげるわ」

「っ、もう!知ってるでしょ二人とも!私が好きなのはスレイなの!」


勝手に先々に言いまくる二人に私はついカッとして大声で言ってしまった。どうやらライラ達にまで聞こえた程に大声だったらしい。「まあ」と口に手を添えてこちらを見るライラと、「大胆だな」と笑うザビーダを見て一気に恥ずかしくなった。馬鹿、何であんな事…!


「言えたじゃない」

「スレイに伝えれて良かったじゃん」

「…え?一体何の事…」


エドナに傘で後ろを向けとやられて不思議に思いながらも振り向く。そこにいたのは額をおさえながらため息をつくミクリオと…顔を真っ赤にしたスレイがいた。な、なななっ…!?まさか、今の聞こえて…!


「いっ…いやああああっ!!」

「名無し!?ごめんミクリオ、話は後で!」

「わかった。…頑張れよ、スレイ」


恥ずかしさがピークに達し私はその場から逃げ出した。今までずっと伝えてなかったのにこんなタイミングで伝えてしまうし、今日は厄日か。もう無理だ、スレイの顔見れない。一旦止まってその場に座り込んだ。


「名無し」

「…何で追ってきたの?」


聞こえたのはスレイの声。私を追ってきたのだろう。我ながら可愛くない事を言って顔を伏せる。顔が赤くなってる所を見られたくないし、何より顔を見れないんだから。


「聞いて名無し」

「やだ、聞きたくない」


フラれるのなんてわかってる。だから伝えたくなかったのに。泣きそうになるのを堪えようと唇を噛み締めればスレイの両手が私の肩に触れてビクリと体が跳ねる。


「オレも名無しが好きだよ」

「…え?」


スレイの言葉に驚いた私は顔を上げる。そこには私を見て笑うスレイがいた。…好き?スレイが私を?


「名無しも…えっと、オレの事好きって言ってたから、オレ…」

「…好き。大好きだよ、スレイ」


頬を掻きながら少し口篭るスレイに告げる。ずっと言いたかった気持ち。心から好きと伝えればスレイが微笑んで私を優しく抱きしめる。暖かい。私は目を閉じて身を委ねた。聞こえたのは。


「オレも名無しが大好きだ。大切にしたい」


スレイが私に対する告白。スレイの告白に私も言葉に変わりに抱きしめ返したのだった。スレイだけが好きだよ。これからも、ずっと。


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ルイス様リクエスト、テーマが"告白"でスレイ夢でした。
まずスレイの出番が少ないですね。すみません!
お互いに好きだけどやっぱり断られるのが怖くて一歩踏み出せなかった二人。しかし夢主の言葉を聞いてしまい、だったら自分もと決意したスレイでした。
因みに他の皆は二人の気持ちに気づいてます。最も当の二人はお互いの気持ちに気づいてませんが。スレイって鈍感そうです、はい←
ルイス様、5万打記念に参加していただき、ありがとうございました!気に入らなければ遠慮なく仰って下さい!

※お持ち帰りはルイス様のみです。
 
 
 
 
 


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