カウントダウン | ナノ



プロローグ(2/5)


 
 
 
 
 
急いで制服に着替えて下に降りる。そこにいたのはお母さんとテーブルにある料理を食べている幼馴染み。


「いつもごめんねーロイ君。ホントあの子ったら…」

「こちらこそ、いつも朝ごはんを食べさせてもらってすみません」

「いいのよ!気にしないで!」

「ありがとうございます」


お母さんに微笑む。うわー…。私以外にはこんな可愛いとこあるのにな…。何で私にはあんなに冷たいのやら。と考えていたらお母さんが私に気づいて早く座れと言ってきたので座った。


「アイリ、あんたもそろそろ一人で起きなさい。ロイ君が可哀想でしょ」

「はいはい…」


わかってはいる。だけど起きれないのが現実だ。…一口テーブルにある料理を食べながら目の前にいる幼馴染みを見る。
―――ロイ。私の両親とロイの両親が仲が良かった為小さい頃から知り合い。性格は…私には素っ気なく、他の皆には優しい。更に頭がいいし顔はいいしでモテる。そんなロイが私は好き。幼馴染みの好きじゃない、恋愛として好き。…なんて本人には言えないけどさ。


「人の顔なんて見ないでさっさと食べろよ。間に合わなくなるだろ」

「すみませんねー」

「こら!」

「いたっ!」


バシンと新聞紙で頭を叩かれた。…お母さん、ロイに甘すぎ。ロイの本性見てみたらだいぶ印象変わるって。まあ見せるわけないけど。
ロイは手を合わせてお母さんに微笑む。


「ごちそうさまでした。美味しかったです」

「そう、よかった!ほらあんたも早く食べて」


そんな風に急かされて食べ終わり家から出る。これがいつもの日常。


「さてさて、今日は何人から告られるのでしょうか!」

「…お前ってそういうの考えてばっかで本当に馬鹿だよな」

「気になるんだからいいじゃん」


毎朝ロイの靴置き場には大量のラブレターがある。ロイが学校に入ったら女子が真っ先にロイの元へ来る。これもいつもの事。私はそれを気になっていた。…そりゃ、ロイがどういう返事をするか気になるし。


「ロイって絶対断ってるよね。好きな人でもいるの?」

「くだらない事言ってないで行くぞ」

「…もしかして照れてる?…いった!」


冗談で言ったつもりが本気に取られてデコピンをされた。痛む額を押さえながら私は先に歩いていくロイを追った。
 
 
 
 
 

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