カウントダウン | ナノ



前編(2/10)


 
 
 
 
 
『アイリ。帰るぞ』

『え、あ』

『早く』


一人で帰ろうと思ったのに逃げられなくてロイに手首を掴まれて。女子からの視線を浴びながら私はロイと帰る事になった。やがて女子がいなくなってからロイの手が離れる。…まさか告白されて普通に話しかけてくれるとは思ってなかった。嬉しいけどビックリと言うか。


『…お前さ。あの告白本気か?』

『…え?あ、当たり前だよ!私はロイが好きだもん!』


戸惑いながらも言う。冗談で言うわけがない。するとロイ息を吐き、私を見つめながら返ってきた答えは。


『諦めろ。俺はお前の事をそういう風に思えない』


…だった。また胸に突き刺さる。それでも私は諦めなかった。ううん、諦める事なんて出来るわけが無かった。


『やだ。絶対三日間で私の事を好きになってもらうから。それで無理なら諦めるよ』

『はぁ…。好きにしろよ』

『うん、好きにする』

『言っとくけど俺は絶対好きになんてならないから。じゃあな』


結果あの後ロイは一人で帰ってしまった。で、今に至る。いいもん、向こうだって好きにしろって言ったんだからやってやる。


「ロイが来るまで暇だな…」










「しんっじられない!」


息を切らしながら教室に入り自分の机に行って座る。そしてパッとロイの方を見るとロイは欠伸をしていた。こ、こんのー!人が遅刻しそうになったのに…!ロイをずっと待っていたのにいつまでも来なくて走って教室に来たのに。


「アイリ、良かったな」

「先生すみませんでした」


ギリギリ遅刻では無かったから先生が安心した表情で言ってきた。流石にロイのせいでこうなりました、なんて言えなかったけど。
 
 
 
 
 

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