「嘘…。明…!?」
信じられないという目で私を見る。だけどそれは私もだ。何で…司がここにいるの?どうしてクリードと一緒にいるの?頭の中でぐるぐるとその考えが周り混乱する。
「クリード…ありがとう!わざわざ連れてきてくれたのね!」
「司の願いだからねぇ…」
嬉しそうに笑ってクリードに言う彼女。対してクリードは微笑んだ。
ーーー司。クリードが今そう呼んだ。なら本当にこの人は…私の知っている司、なの?
第15話 崩壊
「あんた…何者?明とどういう関係なのよ」
「私は司。明の友達よ」
リンスさんに言いながら肩にかかっている髪を後ろに戻す。話し方、声、仕草、何もかもが私の知っている司と同じだった。
「…本当に、司…なの?」
やっぱりまだ信じられなくて疑ってしまう。司は一度ため息をつくと私の目を見て。
「そうよ。あなたの友達の夕凪司よ」
聞き慣れている名前をハッキリと言う。その言葉を聞いて涙が頬を伝った。理由なんて簡単だ。
「…っ、会いた…かった…!」
何でここにいるかなんてもうどうでも良かった。今ここに司がいる。会いたかった司がいるんだ。嬉しくて…涙が止まらないよ。
「明…。私も、会いたかったわ…」
司が私の頬に触れる。嘘じゃない。夢でもない。頬に触れる手が暖かい。それが何よりも現実だと知らせてくれる。
[prev] [next]
[back]