「…一つ僕の頼みを聞いてくれないかな、ドクター」
とある街から少し離れている城の最上層にいて、豪華なソファに座っている銀髪で全身黒の服を着ている男性―…。クリード=ディスケンス。
「つまらない頼みでなければ」
そんな彼の言葉に返す男―…ドクター。白衣を着ていて黒い眼鏡をかけている。
「街まで迎えに行って欲しいんだよ。…客人をね」
「…客?」
「我々のまいたエサに面白い獲物が食いついたのだ」
聞きなおすドクターの横から水晶が光った。水晶を持っている人物…顔を布で覆面にしている男―…シキ。ドクターがシキの持っている水晶を見る。そこに映っていたのは薄紫色の髪の女性、リンスレット。
「ミス・リンスレット…。これは思わぬ来客だよねぇ…」
クリードは舌なめずりし笑う。そして水晶が再び光るともう一人の人物が映った。クリードは見ると更に笑った。
「これは"彼女"にとっては運命、なのかな。ククク…」
水晶に映った人物…明を見て彼はそう呟いた―…。
第14話 再会
「えーっと…何がいいかな…」
只今私達はストークタウンという街にいる。と言っても今は私一人しかいないのだが。ここに来たのは当然ながら標的[ターゲット]を捕まえるため。トレインさんとイヴちゃんはこの街を見回っており、私はパソコンで標的の情報を調べているスヴェンさんと一緒にいたのだが情けない事にパソコンがいまいちわからないためスヴェンさんへの飲み物を買いに来て何を買おうか悩んでいる、という状況。んー…コーヒー、でいいのかな。
「すみません。コーヒー下さい」
「はいどうぞ」
お金を払い暖かい缶コーヒーを受け取りスヴェンさんの所へ足を動かす。一応周りに標的がいないかを確認しながら歩いていけば、人がいない所に来てしまった。
「あれ?ここさっき来たっけ?」
自分が歩いてきた所を懸命に思い出すが、あやふやだった。これはまさか、迷子というやつじゃ…と焦っていると後ろから聞いた事のある声が聞こえて。
「…明!?」
「え、あ…。リンスさん…!?」
振り返るとそこにいたのは驚いた表情でこちらを見つめるリンスさんだった。
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