「…いいかてめぇら。フィルム確保は後回しだ。…とりあえず中にいる奴は皆殺しするぜ。子供[ガキ]優先でな」
黒い帽子の人達の中に一人、かぶっていない男がそう呟く。男―…マードックの言葉を聞き黒い帽子の人達が一斉に銃を構え、扉を開けて直ぐ様撃った。が、中には誰もいない。残されていたのは「残念でした!」と書かれている紙だけ。
「…感のいい奴らだぜ。てめぇら他の部屋も探せ!こんな短時間で遠くまで逃げられるわけはねぇっ!」
マードックがそう叫んだ瞬間部屋が真っ暗になった。部下達が混乱する中マードックは舌打ちする。すると今度は部下がやられていく声。それは直ぐにおさまり今度は静かになる。
「…おい?どうした?」
「ワリーな。ザコ相手に無駄弾使いたくねぇもんで。…本命[あと]のために残しとかねぇとな」
月明かりに照れされて見えるトレインを見てマードックは悟った。彼が部下を倒したのだと。マードックは笑う。ただの一般市民ではないと判断したマードックはすかさず両手に銃を持ち発砲。全て銃も持たずによけていくトレイン。そしてトレインは笑うと静かに銃を構えた―…。
第13話 復讐の時
私達はトレインさんとはまた違うところにいた。微かだが銃声が聴こえてくる。…トレインさんなら、大丈夫だよね。
「トレインの奴おっ始めやがったな」
「うん」
「…何なの?」
目をこすりながら眠たそうにイヴちゃんが言う。無理もないよね、寝てたみたいだし。そんなイヴちゃんに説明するスヴェンさん。昼間ティムを狙ってきた人達がここに来たと。流石警察の人間とつるんでるだけあって居場所など直ぐにわかったみたいだ。
「あいつら…今度こそ本気で俺を殺す気だ」
「………」
「…大丈夫だよ」
「!」
「私達がいるから。ね?」
少し震えているティムの手を握り笑う。いくら男の子でも年下で、それに殺されると思ったら怖いよね。だから私も怖いけどティムを守らなきゃ。
「…何で手を握るんだよ」
「安心するかなーって思ったから」
「…やっぱり明って馬鹿だ」
顔を背けて言うティムだが耳が赤いのが見えて照れているとわかってしまう。それにそんな事言いながらも手を離さないから、おもわず笑ってしまう。私も誰かと手を繋いでいるだけで安心出来る。
「いたぞーっ!!」
「チィ―…裏口からも来やがったか!」
その時二人黒い帽子の人が銃を構えて現れてすかさずスヴェンさんが地面に置いてあるアタッシュ・ウェポン・ケースの下の方にあるボタンを足で押す。するとケースが開き銃が出てきて手に掴み、一人の肩に直ぐ様撃つ。見事に命中した。そしてもう一人は。
「ごめんなさい!」
私が相手の目の前で素早く剣を抜き少し深めに腹を斬った。当たり前の事だが血が地面に、剣について私は顔を歪ませる。でもそれだけでもう一人は倒れてくれて救いだった。これ以上血を見たくなかったから。目を逸らして皆の所へ足を動かす。
…初めて、人を斬ってしまった。…これぐらいで怖じけたら駄目。自分で決めた事だから慣れなきゃ。こうでもしないと、皆を守れないから…。
「ナイスだ明」
「頑張ったね」
「…ありがとう」
私が色々と考えていると思い多分気を使ってくれて言ってくれたんだと思う。スヴェンさんとイヴちゃんに感謝しつつ、少し震える手で剣を鞘に戻す。…後でちゃんと血を拭かないと、ね。
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