『私…また独りぼっち…?』
『スヴェンさんは間違ってる…!それに気づいてるくせに!』
「スヴェン…。…おいスヴェン。おいってば!」
「!」
繰り返される言葉を思い出しながらボーッとしているスヴェンの事を呼ぶトレイン。ようやく気づいたのかスヴェンはトレインの事を見る。
「よっ!戻ったぜい!」
「わ…悪ぃ、ボーッとしてた」
「あのなぁ、ボーッとしてる間にも標的がここを通ったらどーすんだ?」
「そうだな…」
少し呆れながら言ってもスヴェンは曖昧に返事を返すだけ。トレインはそんなスヴェンを何とも言えない表情で見ているだけだった。
第10話 幸せの価値
「この街に着いてからこの二日間ずっとそんな感じだなぁあんた。ボーッとしちまって」
「そうか?いつもと変わらねぇぜ俺は」
軽く笑いながら言うスヴェンに「…だといいけどな」とミルクを飲みながら小声で言う。それからこれからどうするかという話になり、賞金表の紙を見る。連続爆弾間ケリー=バリス。報酬金500万イェン。今回はこいつを捕まえに来たのだ。
「大きな手掛かりが得られない以上張りこみ捜査を続けるしかないな。お前は張りこみ場所を駅前に変更して通行人のチェックを続けてくれ」
「…あんたは?」
「人の集まる中心街を主に捜査してみるつもりだ」
「頼むから標的をうっかり見逃すのだけはカンベンしてくれよな」
「…ああ。じゃあ…また後でな」
いつもなら怒ったりツッコミを入れてきたりするのにそれも無しで歩いていくスヴェン。そんなスヴェンを見てトレインは。
「…さみしい背中だねぇ」
と呟いたのだった。
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