「お、おい。明?」

「大丈夫?」


二人がいるホテルに戻ってきた。全速力で走っていた為息を切らしながら扉にもたれて座りこむ。どう見てもおかしい私の様子にスヴェンさんとイヴちゃんが心配しながら声をかけてくる。息を整えながら帰ってきて早々煩くてごめんと謝罪し、安心させる為に何でもないと言う。


「…顔も赤いが…」

「…もしかしてトレイン?」

「ち、ちがっ…!」


走ってきたから顔が赤いだけと誤魔化せばいいのに、イヴちゃんの一言に顔が熱くなる。先程のトレインさんの言葉と表情を思い出して胸が更に煩くなる。


「その様子だと何かあったみたいだな」

「明もそろそろ気づかないと…。取られちゃうよ」

「…気づくって…?」


一体何を気づけばいいのだろう。何を取られるって言われているのだろう。考えている私を見てスヴェンさんは笑って「まだまだ時間がかかるな」と言いながらパソコンを見る。イヴちゃんは私を立たせてくれてベットに座らせてくれた。その間も私の心臓はドキドキと高まっていく一方だった。















  第20話  約束















「よ」

「こんちわー」

「お…おい、その娘…!?」


暫くしてトレインさんがキョーコさんを連れてホテルに戻ってきた。トレインさんだけじゃなく、キョーコさんがついてきている事に驚きスヴェンさんが椅子から立ち上がる。


「まー色々あってよ、とりあえず連れて来た」

「と…とりあえず…?」

「ちゃんと話すって。…それよりも…」

「…あっ…」


トレインさんが私の方を見た。目があってしまい、思わず目を逸らす。あ、れ?トレインさんが見れない…!何で…!?


(…やっぱり何かあったんだな)


トレインさんが悲しそうな表情で私を見ていて、そんな私とトレインさんを見てスヴェンさんがそう思ったなんて知らない私だった。
 
 
 
 
 


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