「僕はね…前々から思っていた事があるんだ」
「…何?」
トレインさんが何故自分の誘いを断るのか。そして何故いつまでも掃除屋をやめないのか。それは…スヴェンさんがいるからではないかと。そう告げるクリード。
「つまりだ。君がトレインの掃除屋としての居場所を作っているんだよ。君を殺せば…トレインの掃除屋としての居場所は無くなるんじゃないかな…!?」
「何言って…。…スヴェンさん!?」
ザンと斬れた音がしてスヴェンさんの体から血が出る。それも右肩から腹部まで斬られた為、かなりの量。クリードが持つのは剣…なのだが刃がない。氣で造られた刃がスヴェンさんの体を斬った。トレインさんから聞いていたけど…これがクリードの道、"幻想虎徹"。
「スヴェン!」
(油断した…!あれがトレインの言っていた"見えない剣"…!)
血が出ているスヴェンさんとクリードを見て他の人が一斉に叫びはじめて。クリードは「うるさい愚民共だねぇ…」と吐き捨てる。が、そんなクリードにイヴちゃんは背後から殴った。だがクリードの反応は速くてイヴちゃんの攻撃を見えない剣で防ぐ。
「イヴちゃ…!」
「あなたはこっちよ!」
「いっ…っ、…!」
「明!」
私も加勢しようと剣に触れたが、いつの間にか司が背後にいて私の髪を引っ張り二人から遠ざけられる。
イヴちゃんとスヴェンさんがこっちを見るが、二人に私の事を気にしてほしくないと判断して叫ぶ。
「私なら大丈夫だから!」
どうか二人とも、無事でいて。そう強く願った。
第18話 変化・そして…
「…よくもまあ抜け抜けと生きているもんね」
髪を引っ張っていた手を離されて私は司から距離をとった。二人から離されはしたけど、まだ見える範囲で良かったとは思う。向かい合った司は私の事を貶すように見ていた。
「何でクリードと共に来たか、わかる?」
「…私を殺したかったから」
「よくわかっているじゃない。クリードがあっちで楽しむなら私だってこっちで楽しむわ」
楽しむ。それは殺し合いで、なのだろう。司が腰にかけている剣を抜く。
[prev] [next]
[back]