「!?」


突然見えた人影に驚いて目を見開いた。だってちょうど私が降りる(もしくは落ちる)だろう所に歩いてきたから。このままでは確実にぶつかるだろう。ぶつかるで済めばいいが、どちらにしろ軽い怪我ではすまない。最悪の事だって考えて口を開いた。


「ご、ごめんなさいっ!どいて下さーい!」

「は?」


どいてどうにかなる問題ではないが、とにかく危ないと思って出来る限り大声で歩いてきている男性に向かって叫ぶ。足を止めて上から聞こえてきたのと勢い良く落ちてくる私を見て相手は当然驚いていたのが目に映る。


「なっ…!?」

「――――っ!」


唇を噛み締める。駄目だ、これは絶対にぶつかる――――!!
その瞬間落ちていく速さが減速していくのを感じた。だがどちらにしろ落ちているのは変わらないし、激突するのも避けられない。自分が痛いのはいい。だけど相手に怪我をさせてしまう。その事も覚悟したが一旦訪れる痛みに耐えようと私はキツく目を閉じた。

















「……………?」


しかしいつまで経っても痛みは来なかった。ぶつかった感覚はなくて、寧ろ体は浮いている。でもそれは空から地面に向かって落ちている時と違って何かが私の体に触れているのがわかる。それは暖かくて。


「…っ…。どこから降ってきてるんだよ…」


不意に聞こえたのは恐らく先程見た男性の声。よくわからず閉じていた目をゆっくりと開ける。綺麗な金色の瞳と目が合った。









―――これが、私と彼の出会いだった。
 
 
 
 
 
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