受け入れられない現実
※ナツが女体
※「妖精たちの恋」の中の二次小説
※ラクサスが酷い
※ごめんなさい
いつも通り、宿舎であるマンションで朝食をとっていたelementsメンバー。
親睦を深める為に、仕事の場合を除いては、全員で食事を共にするという規則があるのだ。
常と変わらない食事風景のはずが、それを壊すように、今まで黙々と食事をしていたナツが立ち上がった。
勢いがあった為に、椅子が倒れてしまう。手にしていたフォークも音をたてて床に落ち、全員の視線がナツに集まる。
「どうした?」
隣に座っていたグレイが、心配げに顔をのぞく。
ナツは、口を手で押さえながら飛び出した。廊下を駆け抜け、トイレへ駆けこむ。
「ぅぐっ……」
便器に顔を突っ込み、胃から込み上げてきたものを吐き出した。食べた物を全て出してしまい、ようやく落ち着いたナツは、呼吸を整えながらゆっくりと顔を上げた。
数日前から身体がだるく熱っぽい、そして今朝は食事の途中で、堪えきれない程の吐き気。
「風邪だよな」
浮かんでしまった思考を追い出すように、他の病気を口にして自らを誤魔化す。
不安が消えることはないまま、ナツはトイレを出た。
「できたか」
廊下に足を踏み出したのと同時に、真横からの声。
扉横の壁にラクサスが背を預けて立っており、その姿と言葉に、ナツの顔から血の気が引く。
「なにが、だよ」
声を震わせるナツに、ラクサスは喉で笑った。
「ガキに気まってんだろ」
妊娠。
ナツの思考もそれにたどり着いてはいた。それでも、認めきれないために、己を誤魔化していたのだ。
「当然だよなぁ。孕ませるために、あんだけ出してやったんだ」
耳元で囁いてくるラクサスに、身体の力が抜ける。
その場にへたりこむ、ナツの手は固く拳が握られていた。
20110413
昼ドラ一直線