ある日の妖精学園どこまでも一緒編
昼を告げる鐘がなり、ナツは立ち上がった。
出ていこうとするナツに、隣の席のルーシィが声をかける。
「ナツ、どこ行くの?」
いつもなら、ナツは真っ先に弁当を開いている。
それどころか、鐘が鳴り、ようやく昼だとルーシィが弁当を取り出した時には、すでに完食していた事もある。
そんなナツが、腹も満たさずに教室を出ていこうとするなど妙としか言いようがない。
心配気に眉を下げるルーシィに、ナツは不満そうに口を尖らせる。
「購買」
「お弁当は?」
「昨日から父ちゃん出張なんだよ」
ナツの毎日の弁当は、父親であるイグニールが愛情を込めて作っているのだ。
納得したルーシィに、ナツが教室を出ていこうとするが、再びルーシィに止められる。
「ナツ、財布忘れてない?」
ナツは面倒くさそうに振りかえると、ポケットに入っていた財布を取り出した。イグニールに買ってもらったお気に入りの財布だ。
「違うわよ。それじゃなくて」
ルーシィは、斜め後ろを指差した。ナツの席のすぐ後ろは、友人であるグレイの席であり、当人は座っている。
「……俺かよ!」
ルーシィが指差してきた理由を察し、グレイが突っ込む。
「人を財布呼ばわりすんじゃねぇよ」
不快そうに眉をよせるが、ルーシィの視線はグレイに向く事はない。
苛立ったグレイが荒々しく立ち上がるが、文句を言おうと口を開いたと同時に、ナツがにっと笑みを浮かべる。
「グレイ、一緒に行こうぜ」
手を差し出してくるナツと、誘いの言葉。その二つがむけられれば、怒りなど一瞬で消失してしまう。
引き寄せられるようにナツへと近づき、差し出されている手を掴んだ。
「よし。グレイの奢りな!」
手が触れた瞬間のナツの言葉に、我に返ったグレイは口元をひきつらせる。
「お前……」
低く唸るが、ナツの嬉しそうな笑みに、やはりグレイの怒りはすぐに消え失せた。
「仕方ねぇ姫さんだな」
口からは文句の変わりに、諦めのため息がもれた。
ナツの財布紹介。
@イグニールに買って貰ったお気に入りの財布。小遣いが入っている。
Aグレイ(惚れた弱味で、なんやかんや言いながらナツに奢っている)
Bラクサス(ナツを弟の様に可愛がるお隣さん。結果、幼い頃から貢いできた藁)
Cギルダーツ(保険医で、何故か事あるごとにナツに貢ぐ。ただの援交にしか見えない)
20110302
ナツの将来は安泰です。パトロン