ギルドの日常
「で、これが、白羊宮のアリエスの鍵ね」
新しく手に入れた黄道十二門の鍵を三本テーブルに並べる。
「羊?ジンギスカンだね」
「食べる気!?」
ハッピーの言葉に、ルーシィは早々に鍵をホルダーに戻した。
一緒に鍵を見ていたミラジェーンが感心したように声をもらす。
「でも、凄いのね、ルーシィ。黄道十二門の鍵を九つも持ってるなんて」
「たくさん友達も増えたし、あたしも強くならなきゃ」
「ふふ、大丈夫よ。少しずつだけど、ちゃんと強くなってるもの」
ミラジェーンの言葉に、認められているような気さえして、ルーシィは照れたように笑みを浮かべた。
「いいよなぁ、精霊」
羨ましそうにナツが呟く。
以前もナツは似たようなことを言っていた。その事を思い出してルーシィは呆れたように口を開いた。
「いないわよ、ドラゴンは」
まずドラゴンは精霊ではない。
ルーシィの冷静な言葉に、ナツはつまらなそうに唇を尖らせた。
「精霊なんかいらねぇだろ?ナツ」
ナツの隣に座っていたグレイが、ナツの肩へと手を回した。
「鍵なんかなくても、俺の心はいつでも開いてんだからよ」
「「うっざー」」
「……ちょっと寒いんじゃない?」
「グレイより精霊の方が需要あるよ」
ルーシィとナツの声がハモり、ミラジェーンが苦笑し、ハッピーがさっくりと毒を吐いた。
ナツに関しての時は、決して「でぇきぃてぇる゛」とは茶化さないハッピーだった。
20100625
日常茶飯事